韓国では自国史を扱う「国史」は国定教科書だ。満州事変や「満州国」は、国史では扱われておらず、世界史を教える「社会2」で説明されている。最も発行部数が多い金星出版の教科書をみると、「全体主義と第2次世界大戦」の項目で取り上げ、歴史の大きな流れの中で位置づけているのが特徴だ。3行ほどの記述で次のように「満州国」は出てくるが、満州事変という言葉は出てこない。
《日本では軍部が政権をとり、侵略戦争を敢行するなど軍国主義の体制を強化した。日本は満州を占領し、満州国を建国した後、中日戦争を引き起こした》
執筆者が取材に応じてくれたティディムドル出版の教科書も、日本の侵略の様子を示した地図を載せ、満州国も記されているが、満州事変の説明はない。
金陸勲(キム・ユックン)・泰陵高校教諭は「教科書は紙幅が限られているから、歴史の流れを大きくつかめるように教えることが大事だ。この時代は、帝国主義やファシズムと諸民族がどう戦ったのかに重点を置いた」と執筆の意図を語る。
高校世界史の教科書では、やや詳しくなり、「満州事変」も出てくる。金星出版の教科書は以下のように記す。
《日本は蒋介石が北伐を行っている間、3回にわたり山東に出兵し妨害し、満州事変を引き起こし、中国北東部を占拠した後、傀儡(かいらい)政権(満州国)を建国した》
韓国の歴史からみれば、「満州」は、抗日独立運動の拠点として重要だった。だから国史の教科書は、満州事変の説明はなくても「独立戦争は満州や中国本土を根拠地にし、日帝が敗れ滅びるまで絶え間なく展開された」「日帝の中国への侵略が激しくなり、満州地域の独立軍の活動はかなり制約されるようになった」などと、記述している。
(桜井泉)