中国で半数以上の学校が使用している人民教育出版社の「中国歴史 8年級」では、「中華民族の抗日戦争」という単元で、全面戦争の勃発(ぼっぱつ)から日本の敗北まで12ページにわたって説明している。
戦争の発端についてはこう記述している。
《1937年7月7日の夜、日本軍は盧溝橋付近で軍事演習を行った。日本軍は兵士1名が失踪(しっそう)したことを口実に、宛平県城の捜査を無理に要求し、中国守備軍の拒絶にあった。戦争を挑発する意図を持っていた日本軍は横暴にも中国守備軍に向かって進攻し、宛平県城を砲撃した。(中略)全国的規模の抗日戦争がここに勃発した。盧溝橋事変は七・七事変とも呼ばれる》
学習指導要領にあたる中国の「歴史課程標準」では、中日戦争については(1)「七・七事変」の史実を略述し、中国の全民族的抗戦が始まったことを知る(2)南京大虐殺などを例とし、日本軍国主義の凶暴で残忍な侵略の本質を認識する(3)「台児荘激戦」や「百団大戦」などの史実を述べ、勇猛果敢さや犠牲をいとわない精神を実感する、の3点を求めている。
教科書はこの方針に忠実に沿った内容となっており、主な戦闘について生々しく記述しているのが日本の教科書とは大きく異なる点だ。また、中国共産党の役割について「根拠地の軍民を指導して頑強に抗戦し、日本の侵略への抵抗における大黒柱となった」と位置づけている。
「南京大虐殺」については2ページほどで説明しているが、写真を4枚掲載しているほか、「百人斬(ぎ)り」を競う将校を報じる新聞紙面も紹介している。被害者数の記述をそのまま引用すると次の通り。
《戦後の極東国際軍事裁判の統計によると、日本軍が南京を占領した6週間の間に虐殺された、何の武器も持っていない住民や将兵は30万人以上に達した》
(佐藤和雄)