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〈教科書を比べる〉

日本―国民・アジアの犠牲 簡略化

 日本の中学校でもっとも多く使われている「新しい社会 歴史」(東京書籍)は、「第2次世界大戦とアジア」として6ページをさく。ヨーロッパでの戦いを説明した後、「アジア・太平洋での戦い」「戦争の終結」に各2ページをあてている。  「アジア・太平洋での戦い」では、学徒動員や空襲、疎開などを取り上げると同時に、アジアの国々での被害にも触れているが、計1ページで、あっさりとした内容だ。

 《日本が侵略した東アジアや東南アジアでは、戦場で死んだり、労働にかり出されたりして、女性や子どもをふくめて、一般の人々にも、多くの犠牲を出しました。いっぽう、日本に連れてこられて、意思に反して働かされた朝鮮人、中国人などもおり、その労働条件は過酷で、賃金も低く、きわめてきびしい生活をしいるものでした。》

 同社の10年前の教科書では、空襲に苦しむ日本国民の戦時下の生活を2ページ近く、強制労働や強制連行、従軍慰安婦などアジアでの加害行為を約3ページにわたって具体的に説明していたが、そうした詳しい記述は見あたらない。

 また、沖縄戦についても10年前の教科書は「スパイの疑いとの理由で日本軍に殺害された」「集団自決をする」など住民の被害について具体的な記述があったが、現在は「多くの犠牲者を出した」などの表現になっている。

 渡辺能理夫・社会編集部長は「学習指導要領が変わって授業時間が減り、内容を厳選したことと、見開きで1時間という構成にした影響。ただ、時代的な背景があったことも否めない」と話す。

 97年は、改訂された7社の教科書がすべて「慰安婦」を取り上げた。その記述の削除を求める「新しい歴史教科書をつくる会」が発足、同会などの「自虐的すぎる」という批判の影響を受けた形だ。

(大久保真紀)

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