台湾の教科書では、アジア・太平洋戦争を中国史と世界史の中で取り上げている。広く使われている南一書局の「国民中学・社会」の中国史部分では「中日戦争」の項目で1ページを割き、真珠湾攻撃から原爆投下までを説明し、《(中日戦争の)第2段階は(中国が)連合軍と共に戦った。》 と位置づける。
中国にとって大きな意味を持つものとして、カイロ会談とヤルタ会談を写真付きで取り上げている。
《米国は中国が参加せず、事情を知らない中でソ連とヤルタ秘密協定を結び、中国の権益を売り払い、中国に大きな損害を与えた。》
世界史部分は「第2次世界大戦」の項目2ページの中で、真珠湾の奇襲が 《欧州とアジアの2大戦場を合流させた。》 として、世界地図にミッドウェー海戦など主な出来事を載せて、大戦の広がりを示す。ここでも 《ヤルタ会談は戦後の情勢に影響するカギとなる要素になった。》 と指摘。大戦を総括して、《規模の大きさは前例がなく、世界中が影響を受けた。数千万人が死んだほか、経済的な損失は計り知れない。》 と結んでいる。
国民党政権下の「歴史課程標準」に基づく教科書では、世界史で第2次大戦に11ページ余りを割いていた。日本関連では真珠湾奇襲、広島の原爆投下、降伏式典の3枚の写真を載せて詳しく説明していた。また、中国史では「太平洋戦争発生後、中国の戦場は日本の100万の兵力を引きつけ、日本が全力で対米作戦を行えないようにした。この貢献は連合国が最後に勝利する重要な要素となった」と、抗日戦の意義を強調していた。
南一書局の教科書の編集指導委員の周恵民(チョウ・ホイミン)・政治大学歴史学部教授は「授業時間の関係もあり、戦争の記述はかなり少ない。多くが台湾に捕虜収容所があり、豪州の捕虜がいたことなども知らない」と現状を語る。
(田村宏嗣)