現在位置:asahi.com>国際>コリアうめーや!!> 記事

コリアうめーや!!

一息つきたい時に手作りの味わい

伝統茶

2007年06月11日

 韓国の飲食店で「水」と頼むと、真水ではなく、冷たい麦茶やトウモロコシ茶が出てくる。もちろん真水を飲む習慣がないわけではないが、麦茶やトウモロコシ茶が水がわりとして出されるのが通例だ。

写真  
写真  
写真  
写真  
写真  
写真  

 最近はあまり見かけなくなったが、ごはんのオコゲに水を加えて鍋で煮た、スンニュンという飲み物を出す店も多かった。ほんのりと香ばしく、消化を助ける働きを持つ。そのほかにもソバ茶、アマドコロ茶なども日常的に飲まれている。

 それらに対して緑茶を飲む頻度はずいぶんと少ない。朝鮮半島に茶の文化が伝わったのは三国時代。以降、高麗時代までは緑茶を飲む習慣も盛んだったが、朝鮮時代に入って儒教が国教になると、茶を栽培していた寺が抑圧され、同時に茶の文化も衰退していった。近年はヘルシーブームによって緑茶の魅力が再評価されており、ペットボトルに入った緑茶も販売を伸ばしているが、日常性という意味ではまだまだ低い。

 むしろ、韓国といってイメージされるのは豊富な伝統茶類だろう。漢方薬を煎じたものや、かんきつ類、木の実などを砂糖漬けにしてお湯で溶いた飲み物。それぞれに薬効があるため、民間的な病気の予防にも用いられる。町中の伝統茶店でも飲むことができるが、家庭でも多く作られている。

 ユズの皮を砂糖や蜂蜜に漬け、お湯で溶いて飲むユズ茶(ユジャチャ)はその代表格。レモネード風の甘い飲み物で、風邪の予防や喉の痛みに効果がある。そのほかにも、カリンの実を蜂蜜漬けにしたカリンチャ(モグァチャ)、ナツメ茶(テチュチャ)、ショウガ茶(センガンチャ)など種類は豊富だ。

 日本の韓国料理店でも、最近はこれらの伝統茶が多くメニューに載せられるようになった。市販品を使う店も少なくないが、中には手作りの伝統茶を出す店もある。横浜市石川町にある「横濱茶花咲」は、お「茶」の席で話に「花」が「咲」くようにと名付けられた店。夜は完全予約制で韓国宮中料理を提供する高級店だが、ティータイムには手作りのユズ茶、ナツメ茶、ショウガ茶などをゆったりと楽しめる。

 東京・新大久保の「韓サラン」も数多くの伝統茶を提供している。手作りの五味子茶(オミジャチャ)が自慢の一品で、韓国から輸入したチョウセンゴミシの実(五味子)を、キバナオウギ(黄耆)、甘草といった漢方薬とともに煎じて作る。ほのかな甘味と酸味が爽やかだ。

 韓国旅行の際には、町歩きのひと休みに有効な伝統茶店。日本でもほっと一息つきたいときに、訪れてみてはいかがだろうか。

●伝統茶の魅力

 伝統茶の専門店でセットとして出てくるのが韓菓(ハングァ)と呼ばれる韓国の伝統菓子。茶食(タシク)と呼ばれるらくがんに似た砂糖菓子や、カンジョンと呼ばれる米菓子、小麦粉を練った生地を油で揚げた油蜜菓(ユミルグァ)などが代表的だ。日本の菓子とも似ているが、食べてみると微妙に異なる。こうしたお茶受けの菓子を楽しむのも、伝統茶を味わう魅力のひとつだ。

●店舗データ 地図

店名:横濱茶花咲(よこはまちゃっかしょう)

住所:神奈川県横浜市中区山下町214思明楼ビル3階

電話:045―222―1368

店名:韓サラン(はんさらん)

住所:東京都新宿区大久保1―16―15豊生堂ビル2階

電話:03―5292―1161


プロフィール

八田 靖史(はった・やすし)
 コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/別ウインドウで開きます)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/別ウインドウで開きます)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

PR情報

このページのトップに戻る