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コリアンタウンの年末風景

2008年1月9日

  • 筆者 八田靖史

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 昨年の暮れ、正月用の食材を買うために、東京・上野の商店街「アメヤ横丁(アメ横)」を訪れた。タラバガニ、マグロ、カズノコといった高級食材が安く買えるとあって、あたり一帯にはすごい数の人が押し寄せる。新聞やテレビの報道で見て覚悟していたものの、混雑して歩けないどころか、押されてころびかけるくらい。目当ての品を買うのも一苦労だったが、年末ならではの熱気を感じられたのは悪くなかった。

 アメ横をひと通り楽しんだのち、昭和通りを越えて東上野2丁目へ向かう。このエリアは古くから焼肉店や韓国食材店が立ち並び、コリアンタウンとして名高い。「キムチ横丁」の名でも親しまれており、年末の数日間はアメ横ほどではないにしろ、大勢の買い物客でにぎわうのだ。通りに面した各店舗では、店の前に簡易的な臨時の売り場を広げ、キムチや、塩辛などの惣菜類、煮豚、焼肉用の精肉、マッコルリ(韓国のどぶろく)など、多くの商品を並べていた。

 中でもよく売れるのが雑煮用の餅とのこと。韓国でも正月にはトッククと呼ばれる雑煮を食べるが、日本の雑煮とは異なり、うるち米で作った棒状の餅を薄くななめにスライスして使う。小判型になった餅は富の象徴であり、棒状の細長い形状には長寿の意味が込められている。韓国では旧正月で祝うのが本式だが、在日コリアンの場合は日本式に新正月で祝うケースも増えているのだとか。

 通りに面した繁盛店のひとつ。創業から50年近い歴史を持つ「第一物産」で詳しい話を聞いてみた。「毎年、12月29日から31日までの3日間がもっとも混雑し、通常の時期に比べて10倍前後の客が訪れますね。アメ横から流れてくる日本人客も多く、特にここ数年は韓国ブームの影響で、キムチなどを買い求めに来る日本人客が増えています」。

白菜キムチやケジャン(ワタリガニの薬味漬け)が人気商品だが、今年は冬季限定のポッサムキムチが特に売れたとのこと。ホタテ、イカ、タコ、エビなどの海産物を具として使い、大きな白菜の葉で包むようにして作った贅沢なキムチ。ギンナンや松の実まで入る具の豪華さが、めでたい気分に合うのかもしれない。

 次のチャンスがほぼ1年後になってしまって恐縮だが、もし2008年末にアメ横を訪れる場合にはぜひ思い出して頂きたい。年末に上野で出会う、もうひとつのお楽しみ。東上野のキムチ横丁にも華やいだ賑わいがある。

●東上野キムチ横丁の魅力

 都内にはいくつかのコリアンタウンがあるが、そのどれもが少しずつ性格を異にする。最大規模の新大久保はここ10年くらいの間で一気に栄えたニューカマーの町。老舗と呼べる店でも20年前後と歴史は浅く、ほとんどが「韓流」を前後するここ数年にできた店だ。それに対して東上野や三河島は、在日コリアンが古くから営業を続けている店が多く、4〜50年の歴史を誇る店もある。特に東上野のコリアンタウンは古くからの建物をそのまま残している店も多く、歩いているだけで歴史を感じられる。焼肉店で食事をしたり、食材店でお土産を購入したりするとともに、街の雰囲気全体も楽しんで欲しい。

●店舗データ 地図
店名:第一物産
住所:東京都台東区東上野2−15−5
電話:03−3831−1323
http://www.d1b.jp/

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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