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冷麺

2010年8月25日

  • 筆者 八田靖史

写真透明感のあるスープの冷麺(韓流冷麺サンムーン)写真具の豪華なチェンバン麺(韓流冷麺サンムーン)写真麺はすべて自家製(韓流冷麺サンムーン)写真涼やかな氷器冷麺(カントンの思い出)写真氷の器を作るための型(カントンの思い出)写真70年代の韓国をイメージした店内(カントンの思い出)

 日本の夏も暑いが、韓国の夏も暑い。韓国の新聞記事を見ていると「チムトントウィ(蒸し器の暑さ)」という単語が目に入ってきた。さしずめ、日本でいう「蒸し風呂」のような比喩表現であろう。韓国には「以熱治熱(イヨルチヨル)」という言葉があり、真夏には熱いものを食べて暑さをしのぐという健康法があるが、こうまで暑いと冷たい料理が恋しくなる。幸いにも韓国は夏の涼味も揃っており、特に麺料理が充実している。コングクス(冷製大豆スープ麺)、チョルミョン(生野菜の辛い和え麺)といった料理に加え、なにより王道といえるのが日本でもよく知られた冷麺だ。韓国語ではネンミョンと発音する。

 東京、銀座で今年4月にオープンした「韓流冷麺サンムーン」は、店名が示す通り、冷麺を専門に扱う店。料理長は北朝鮮や北京にある「高麗ホテル」で修業の経験があり、本格的な平壌式の冷麺を提供している。そのこだわりはまず麺によく表れており、注文を受けてから生地を練り始める。原料となるのは国産のそば粉とジャガイモのでんぷん。これを5対5の比率で混ぜ、1.3ミリの細麺に仕立てる。季節によって水分量を微妙に調整しつつ、心地よい喉越しと噛みごたえの麺を作り出す。

 そしてもうひとつの自慢が、店曰く「黄金のスープ」。牛スネ肉、豚モモ肉、鶏モモ肉という3種の肉を、大根、長ネギなどの野菜とともに24時間煮込んだもので、その後、さらに24時間の熟成過程を経て完成させる。ほんのりと金色がかったスープは驚くほどの透明感で、味わいもまた澄み切っている。麺とスープの両面から、クリアな清涼感を与えてくれる冷麺だ。

 一方、東京、新大久保にも清涼感を突き詰めた冷麺がある。それは器の段階から冷たさを求めるという工夫。新大久保に5店舗、上野に1店舗を展開する人気店「カントンの思い出」が夏季限定で提供している冷麺で、その名を「氷器冷麺」という。特製の型を使って氷の器を作り、そこに冷たいスープと麺を盛り付ける。氷の冷気でいつまでも冷たく味わえるのが利点であり、麺もいっそう引き締まる効果があるとか。ただし、のんびり食べていると器が溶けてしまうので、その点は注意しなければならない。

こちらの麺もセントラルキッチンで作った自家製麺。トウモロコシ、サツマイモのでんぷんに小麦粉、卵などを混ぜて作っている。しっかりとしたコシのある太麺で、ギュッと噛み締める食感が何よりの持ち味だ。なお、「氷器冷麺」の提供は9月15日までとのこと。また、器を作るのに時間がかかるため、1日20名限定となっている。

 猛暑はそろそろピークを過ぎる頃だが、この後は厳しい残暑も待っている。いずれの冷麺も暑さが厳しいほど、清涼感、爽快感は大きくなる料理。ジリジリ太陽の照る日をめがけ、韓国式の涼やかな麺を味わってみてはいかがだろうか。

●冷麺の魅力

冷麺の本場は北朝鮮とされる。その北朝鮮の中でも平壌式と咸興式に大別され、そば粉を主原料としつつ、冷やしたスープに麺を入れるスタイルは平壌のもの。対して、咸興式ではジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ、緑豆などのでんぷんを主とした強靭なコシの麺を、ヤンニョムと呼ばれる辛い薬味ダレと和えて味わう。前者はムルネンミョン(水冷麺)、後者はピビムネンミョン(混ぜ冷麺)の名前でも呼ばれる。

●店舗データ地図

店名:韓流冷麺サンムーン
住所:東京都中央区銀座3−7−13成田屋ビル2階
電話:03−3566−5516

店名:カントンの思い出新大久保店
住所:東京都新宿区大久保1−17−1
電話:03−3232−0868

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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