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丸鶏料理

2011年4月28日

  • 筆者 八田靖史

写真タッペクスク(四季の里) ※写真をクリックすると拡大します 写真食べやすいよう解体してくれる(四季の里) ※写真をクリックすると拡大します 写真ヤンニョムチキン(四季の里) ※写真をクリックすると拡大します 写真タッカンマリ(コリアタッカンマリ) ※写真をクリックすると拡大します 写真丸鶏をハサミでカットする(コリアタッカンマリ) ※写真をクリックすると拡大します 写真新大久保コリアンタウンに位置(コリアタッカンマリ) ※写真をクリックすると拡大します

 韓国のスーパーや市場に行くと、丸のままの鶏を多く見かける。もちろん部位別にされた鶏肉も販売されているが、韓国では丸鶏を使った料理が好まれているためだ。有名料理のサムゲタン(ひな鶏の腹にもち米や高麗人参を詰めて煮込んだスープ)はその代表格。鍋料理を作るときも丸鶏を食べやすい大きさにカットして使うことが多く、また、フライドチキンなども1羽単位での注文が一般的だ。モモ肉も、胸肉も、手羽肉もすべて味わってこそ鶏肉、という感覚が韓国では根付いている。

 鶏を丸ごと味わうという意味で、もっともシンプルな料理がタッペクスクであろう。タッが鶏を表し、ペクスクは「白熟」と書いて水炊き料理全般のこと。茹でた鶏に塩をつけて食べるもので、そのシンプルさゆえに鶏本来の味を楽しめる。また、鶏を茹でた残りの汁にごはんを入れ、お粥にして食べるのも定番だ。

 東京、浅草にある韓国家庭料理店「四季の里」は、タッペクスクをはじめとした丸鶏料理を自慢とする店。茹でた丸鶏を深めの大皿に盛り付け、そこにお粥も一緒に加えて提供する。その迫力ある見た目もさることながら、食べやすいよう目の前で解体してくれるのも大きな見どころ。同様に、タットリタン(鶏肉と野菜の辛い鍋)、ヤンニョムチキン(辛いタレに絡めたフライドチキン)といった鶏料理も名物であるが、これらもすべて丸鶏をぶつ切りにして使ったボリュームたっぷりの料理だ。

 また、近年人気が高まっている丸鶏料理にタッカンマリがある。こちらは直訳すると、「鶏1羽」というなんともストレートなネーミング。丸鶏を水炊きにするのはタッペクスクと同じだが、塩ではなく、醤油、酢、カラシ、タデギ(唐辛子ペースト)を混ぜ合わせたタレで味わうのが特徴だ。また、タッペクスクが鶏そのものを味わう料理であるのに対し、タッカンマリは鍋料理としてスープも味わえる。また、鶏肉を食べ終えた後は、カルグクスと呼ばれる韓国式のうどんを入れるのが定番だ。

 東京、新大久保にある「コリアタッカンマリ」は、昨年11月にオープンしたばかりの専門店。店主の金山成実さんは、もともとタッカンマリの大ファンで、韓国に行くたびに食べに出かけたという。日本でも食べたいと思って探したが、本場のスタイルをそのまま踏襲している店は見つからない。ならばと一念発起し、自ら理想とするタッカンマリの店を始めた。「始めてみたら予想以上の反響で驚きました。わたしのように韓国で食べたあの味を日本でという方がずいぶん多いですね」と金山さん。コリアンタウンとして賑わう新大久保でも、なかなか出会えない本場の味が好評を集めている。

 タッペクスクにせよ、タッカンマリにせよ、目の前に運ばれてきたときのインパクトが何よりの魅力。大勢でつつきながら食べるのも韓国らしく、エネルギッシュな雰囲気に座が盛り上がる。また、丸鶏料理には夏場のスタミナ料理としての側面もある。元気を出したい、体力をつけたいときには、うってつけの料理だ。

●タッカンマリの歴史

 タッカンマリが誕生したのは1970年代の東大門(トンデムン)周辺とされる。この時期の東大門には高速バスターミナルがあり、地方から長旅をしてきた人、あるいはこれから旅立つ人で賑わった。こうした人たちを対象として茹でた鶏肉を提供ところ、そのスピーディさとボリューム感が受けた。来店客は次々に「タッカンマリ(鶏1羽)!」と注文し、いつしか料理名として定着したという。現在は高速バスターミナルの移転もあり、東大門の隣町である鍾路5街(チョンノオガ)にタッカンマリの専門店が集まっている。

●店舗データ地図

店名:四季の里
住所:東京都台東区花川戸1−2−7コーポ早川1階
電話:03−3842−9229

店名:コリアタッカンマリ
住所:東京都新宿区百人町1−11−25ヴィラレナール2階
電話:03−3363−7372

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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