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ソンピョン

2011年9月11日

  • 筆者 八田靖史

写真秋夕には欠かせないソンピョン ※写真をクリックすると拡大します 写真教室で実技指導を行う趙善玉さん ※写真をクリックすると拡大します 写真伝統餅コースの授業風景 ※写真をクリックすると拡大します 写真ソンピョンにはゴマや豆を入れる ※写真をクリックすると拡大します 写真松葉と一緒に蒸して仕上げる ※写真をクリックすると拡大します 写真趙善玉料理研究院の教室 ※写真をクリックすると拡大します

 韓国では旧暦8月15日を秋夕(チュソク)と呼び、1年の中でも代表的な節句に数えられる。今年(2011年)の場合は9月12日が秋夕。前後の期間は連休となるため、故郷に帰省をするなど、家族や親族と過ごすのが一般的である。当日は茶礼(チャレ)と呼ばれる祭祀を行い、ご先祖様に祭祀料理や果物、餅などを供える。祭祀膳にあがる料理は地域によっても異なるが、どの地域においても欠かせないのがソンピョンと呼ばれる餅だという。そのソンピョンとはどのような餅なのか。韓国の伝統餅や食文化に詳しく、東京、新大久保で料理研究院を主宰する趙善玉(チョ・ソンオク)さんに話を聞いた。

 ――ソンピョンとは?

 漢字では松餅と書き、松の葉を使って作るお餅です。米粉で作ることが多いですが、地域によってはトウモロコシやドングリ、ジャガイモのでんぷんを使うこともあります。中にはゴマや、豆などのあんを入れ、松の葉と一緒に蒸して作ることからソンピョンという名前がつきました。松の葉を使うことで香りもつきますし、殺菌作用も持っています。形は半月を模して作ることが多いですが、最近は貝の形や、木の葉、野菜を模したものなど、いろいろなソンピョンが作られていますね。ソンピョンはたんぱく質、無機質、ビタミンなどが豊富で栄養価も高いので、秋夕以外でもおやつに食べたりします。

 ――ソンピョンを食べる理由は?

 ソンピョンはその年にとれた新米で作ります。無事にお米を収穫できたことをご先祖様に感謝するのが大きな目的ですね。普段からお世話になっている近所の方々にも感謝を込めて分け合いますし、お客様がいらしたときにもソンピョンでもてなします。我が家の場合はヨモギを練り込んだソンピョンをよく作っていました。

 ――ソンピョンはいつ食べる?

 秋夕の日に行う茶礼という儀式は朝の4〜5時頃に行います。なのでソンピョンは前日の夜に作っておく必要がありますね。茶礼が終わったら、祭祀膳に供えた料理とともに、ソンピョンを頂きます。

 ソンピョンの話を聞いた後、ソンピョン作りの実習を行う教室も見学させて頂いた。趙善玉料理研究院では一般的な韓国料理のほかに、伝統餅に特化したコースも設けている。この日、作ったのは米粉のソンピョンと、江原道地方の郷土料理であるジャガイモのでんぷんで作るソンピョン(カムジャソンピョン)。筆者も体験させて頂いたが、なかなかきれいな半月型にならず苦労をした。だが、「形にこだわるよりも、手作りすることが大事」との趙善玉さん。確かに自ら作ったソンピョンの味は格別だった。

●韓国の節句と伝統餅

 秋夕以外にも、韓国ではさまざまな節句に餅を食べている。ソルラルと呼ばれる旧正月には、トックッと呼ばれる韓国式の雑煮(米粉を練って棒状に伸ばした餅を小判型に薄く切って入れる)を作って味わう。旧暦の3月3日にはツツジなどの花を使った焼き餅を作り、旧暦5月5日にはヨモギ餅を作る。節句に限らず冠婚葬祭や、誕生日、告祀と呼ばれる厄除けの儀式を行う際にも、数々の伝統餅は欠かせない存在である。

●店舗データ地図

店名:趙善玉料理研究院
住所:東京都新宿区歌舞伎2−42−16第2大滝ビル3階
電話:03−6233−7867
http://cho-sunok.com/

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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