2008年5月8日
米インディアナ州インディアナポリスで6日夜、支持者に手を振るクリントン氏=ロイター
米ノースカロライナ州ローリーで6日夜、妻ミシェルさん(右)とともに支持者にあいさつするオバマ氏=ロイター
6日までの代議員獲得数
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米インディアナ、ノースカロライナ両州で6日行われた民主党の大統領選予備選。「これがヤマ場」と意気込んで臨んだヒラリー・クリントン上院議員は、予想外にふるわず、再び窮地に追い込まれた。逆に、もたつきをみせていたオバマ上院議員が息を吹き返した。(インディアナポリス=梅原季哉、堀内隆、ローリー〈ノースカロライナ州〉=真鍋弘樹)
■経済政策アピール失敗
6日午後11時前、クリントン氏はインディアナ州の州都インディアナポリスの劇場に姿を現した。その時点では大接戦のまま開票が続行中でメディアの大半は勝敗の見通しを報じていなかった。それでも同氏は「私たちは均衡を破った」と勝利宣言した。
実際に勝敗が確定したのはその約2時間後。だが、得票率でオバマ氏に2ポイント程度まで追い上げられた。「ノースカロライナでは予想外に善戦できず、インディアナでは思ったより苦戦した」(ワシントン・ポスト紙のバルツ記者)ことで、オバマ氏を逆転する最大の機会を逃した形だ。
これまでの予備選で「経済問題」を重視する層から手厚い支持を受けてきたクリントン氏だが、インディアナ州での出口調査によると、「最重要課題は経済」と答えた有権者の票は、クリントン氏とオバマ氏にほぼ均等に割れた。「政策通」のイメージを売り込んできたクリントン氏には誤算だった。
つまずきの一因は、原油高騰への対処法として打ち出した、夏季にガソリン税を免除する政策だ。経済弱者の味方をアピールし、オバマ氏のエリート主義を攻撃する材料のはずだった。だが、大多数の経済学者が「効果はない」と批判。オバマ氏からは逆に「ワシントンの既存の政治家が使う目先のまやかし」と反論される羽目になった。5月初めに行われた全米規模の世論調査では49%が反対し、賛成(45%)を上回った。
経済政策で「違い」を打ち出すことに失敗し、クリントン氏の基盤だった低所得者層にもオバマ氏が食い込んだことが、クリントン氏の予想以上の苦戦につながった。
■オバマ氏、本選挙に照準
「民主党の候補として重要な戦いの場になる大規模州での勝利に感謝したい」
ノースカロライナ州を制したオバマ氏の演説は、すでに11月の本選挙に照準を合わせていた。今後は予備選の州だけでなく、本選挙で重要な州にも足を運ぶという。
3月以降、所属する教会牧師の白人敵視発言に足を取られてきた。ガーゲン・ハーバード大学教授はCNNで「大規模州での予備選に勝てずに守りに入ったオバマ氏が、生気を取り戻した」と評した。
オバマ氏が勢いを取り戻す原動力となったのは、やはりアフリカ系(黒人)の有権者と若者たち。「イエス・ウイ・ディド(よし、やったぞ)」。そう口々に叫びながらノースカロライナ州の集会に集まってきた。出口調査によると、黒人の約9割、20代までの7割以上がオバマ氏に票を投じた。
オバマ氏の演説を聴いたジェイ・ジョンストンさん(27)は言う。「景気が悪いのはワシントンの古い政治のせいだ。オバマのような新しい政治家が必要だ」
根っこには、ブッシュ政権からの変化を求める人々の熱気がある。オバマ氏はこう呼びかけた。「私たちは、マケイン氏にブッシュ政権の3期目を許すことはできない」
■逆転はきわめて困難 31日の党規委が焦点
民主党の予備選は今後6月3日までの間、ウェストバージニア、オレゴンなど計五つの州と自治領プエルトリコを残すだけだ=表。割り当てられている一般代議員数は合計しても217にすぎない。最も多いプエルトリコでも55。ノースカロライナ(115)のように、3けたに達するところはもうない。
CNNの推計によると、オバマ、クリントン両氏がこれまで獲得した一般代議員数の差は169。クリントン氏が残りの予備選で逆転できる可能性は極めて小さくなった。
クリントン陣営が描いてきた逆転のシナリオは、(1)終盤各州で勝ちを重ね、代議員数で少なくとも肉薄(2)総得票数ではオバマ氏を逆転し(3)その「勢い」を説得材料として、党全国大会で自由に投票できる特別代議員の大半をおさえる、というものだった。
だが、そのシナリオは6日の結果で狂った。今後も戦いを続けることには早くも風当たりが強まっている。資金集めも難しくなる。
逆転復活へ数少ない望みをかける対象は、ミシガン、フロリダ両州。党規に違反して予備選を前倒しした制裁として代議員を剥奪(はくだつ)され、宙に浮いたままになっている。その取り扱いを決める党規委員会(5月31日)が、次の大きな節目になりそうだ。陣営幹部はワシントン・ポスト紙に対し、「5月31日に奇跡が起きないと、きつい。今できる限りのことをしているが、厳しい」と語った。
NBCのラッサート・ワシントン支局長は6日夜、「誰が民主党の指名を獲得するかもうはっきりした」と言い切った。クリントン氏は7日朝のテレビ出演をすべてキャンセルしたという。