2008年7月29日
【ワシントン=小村田義之】米大統領選で民主党の候補者指名を確定したオバマ上院議員は、中東・欧州歴訪を終えて27日から米国内での活動を再開した。外交・安全保障の経験不足を指摘されるオバマ氏が、さながら大統領のように振る舞った旅の効果のほどは――。
「1週間、国際的な問題に焦点を当ててきたが、それが米国での支持率アップにつながるとは限らない」
地元シカゴに戻ったオバマ氏は、歴訪について米メディアに控えめな「自己診断」をしてみせた。だが、欧州各国で歓迎を受け、これという失言もなかったのは事実。「我々がうまくやったことは認める」と自信をのぞかせた。
米ギャラップ社の最新世論調査によると、オバマ氏の支持率は49%で、ライバルの共和党、マケイン上院議員の40%に9ポイント差をつけた。2人に焦点を当てた調査が始まった3月以降、最大の開きだ。
各国首脳らと肩を並べ、イラクではペトレイアス米軍司令官とヘリコプターに同乗。20万人を集めたベルリンの演説が始まる前には、いつも小走りで若さをアピールしてきたオバマ氏が、いかにも大統領のように悠然と歩いて登場した。演説では自らの愛国心を強調し、米国民を意識した配慮がにじんだ。
激しいブッシュ政権批判は避け、一見して控えめな態度に終始したが、そもそも正式の候補者にも指名されていない段階で、米国外で派手な演説をしたこと自体が大胆な試みといえる。英エコノミスト誌によると「外遊の時に反対デモが起きるブッシュと、歓声を受けるオバマ」という対照的な構図自体が、自分にとって追い風になるとの読みもあったようだ。
だが、04年の大統領選ではフランス語を話せる民主党のケリー候補が「フランス人みたいだ」と攻撃され、痛手になった。大統領然としたオバマ氏の振る舞いに対する反発もないわけではなく、11月の本選挙への影響は未知数だ。英BBC放送は「オバマ氏は自分が米国のリーダーだと信じ始めているが、彼はただの候補者であり、大統領のように振る舞うのは早すぎる。米国の政治家なのに欧州と近いと見られることで、裏目に出るかもしれない」という識者の冷めた見方を伝えた。
■マケイン氏、報道減り不満
【ワシントン=梅原季哉】華々しいオバマ氏歴訪報道の陰に隠れ、憂き目をみる日々となった共和党のマケイン氏の陣営は米メディアへの不満を募らせている。
マケイン陣営は、オバマ氏とメディアは「恋愛関係だ」と皮肉るビデオを作ったり、自分の同行記者団に「2軍集団――米国に取り残されて報道中」というパロディーの記者証を配ったりした。
政策面でもマケイン氏はオバマ氏批判を強めている。イラク政策について「彼は戦争に負けるより、選挙に勝つ方が大事らしい」などと、嫌みたっぷりな語調が目立つようになった。だが、こうした態度にも「自らを低めることにしかならない」(ニューヨーク・タイムズ紙コラムニスト、デービッド・ブルックス氏)といった忠告が出ている。