2008年5月12日
最近、民主党のヒラリー・クリントン上院議員に起きた「不吉な話」のことである。
舞台はケンタッキー・ダービー。5月3日の伝統レースには、AP通信によれば史上2番目に多い約16万人が春のドラマを求めて詰めかけた。
20頭の3歳馬が2千メートルを疾走。紅一点はエイトベルズ。クリントン氏は「彼女」に賭けた。遊説でも「私のために賭けてください」と呼びかけた。失速気味に見えたオバマ上院議員の背中をとらえ、クリントン陣営は勢いづいていた。
史上4頭目の牝馬(ひんば)による優勝をめざす姿に、クリントン氏は自らを重ね合わせたのか。だが2着に入ったエイトベルズはゴール直後に両前脚を骨折、その場で安楽死の処置がとられた。3日後のインディアナ州などの予備選でクリントン氏は振るわず、今は一転、厳しい撤退圧力にさらされている。
観衆の熱狂のなかを走り抜き、倒れた牝馬。クリントン氏の胸に去来したのは何だろう。
1位になった牡馬(ぼば)ビッグブラウンにはオバマ氏が賭けていた。「勢いはあるが経験に乏しい」のが弱みとされた馬だった。(小村田義之)