2008年11月5日
【ワシントン=小村田義之】08年の米大統領選の候補と目される政治家たちが、11月7日の投開票まで2週間を切った米中間選挙を利用して、資金集めや支持拡大をはかっている。追い風の民主党は、中間選挙での勝利を弾みとしたいところ。逆風の共和党は地道な活動を続けながら、選挙後をにらむ。
○ヒラリー氏 集金パーティー大盛況
夕方からニューヨークの街角に並んだ若者たちは、最低でも50ドル(約6千円)を払ってチケットを手に入れた。10月中旬、マンハッタンのクラブ「ROXY」。ヒラリー・クリントン上院議員(59)の資金集めパーティーだ。中間選挙に向けたイベントだが、集まった資金は大統領選にも転用できる。
ヒップホップ・ミュージックに乗ってヒラリー氏が現れると、ダンスホールに歓声があがった。
「全国的に民主党を支持する大波が起きている。中間選挙が明日なら民主党は勝つだろう」
上院選での再選は確実視され、大統領選の有力候補とされる。今回の勝利で弾みをつけ、初の女性大統領へ――。そんな思惑が透けて見える。まだ大統領選への立候補を明言していないものの、共和党候補からは「上院のポストを大統領への玄関マットにしている」と批判されている。
ヒラリー氏は、大統領選の候補者指名の際に重要視されるニューハンプシャー州やアイオワ州に最近、足を踏み入れていない。「大統領選に意欲がある」と攻撃されるのを避けるためだ。
そのアイオワ州で翌日開かれた民主党のパーティーには、夫のビル・クリントン前大統領が参加。「今は大統領選のことを忘れよう」と呼びかけた。会場からは「大統領選に向けてヒラリー氏の代役で来たのでは」との見方も出た。
○オバマ氏 共和党も警戒「期待の新星」
一方、民主党の大統領候補として急浮上したのが、イリノイ州選出のオバマ上院議員(45)だ。父はケニア出身の黒人、母は白人で、弁護士をへて政界入りした。カリスマ性と演説のうまさから「将来の大統領候補」と目される期待の星だ。
「この問題から逃げ回るつもりはない」。オバマ氏は22日のテレビで、大統領選について踏み込んだ表現をした。
共和党のチェイニー副大統領も気になるようで、24日のテレビでオバマ氏について「魅力的だが、もっと政治経験が求められるのでは」と、牽制(けんせい)ととれる発言をした。
○大統領「代役」マケイン氏 応援行脚50州
共和党では、有力な大統領候補とされるマケイン上院議員(70)が、中間選挙の応援で走り回る。この1年でカリフォルニアからロードアイランドまでのべ約50州の候補者を応援。約60万ドルを支援のために寄付した。
不人気のブッシュ大統領に代わる党の顔だが、上下院とも情勢は厳しい。18日に訪れたアイオワ州では、民主党が勝った場合の対応を記者団から問われて「自殺するしかないね」。
ただ、バージニア大政治センター所長のサバト教授は「ヒラリー氏は上院選でニューヨークにしばられているが、マケイン氏は大統領選をにらんだ動きで、かなり立場を強化してきた」と見る。
CNNが9月に発表した世論調査によると、共和党の大統領候補として、「9・11」テロ当時のニューヨーク市長だったジュリアーニ氏が31%、マケイン氏が20%の支持を得た。
民主党は、ヒラリー氏が37%で突出していたが、オバマ氏が登場し、先の読めない展開となっている。
■大統領候補に名前のあがる主な政治家(敬称略)
〈共和党〉
マケイン(70) (上院議員、00年大統領選予備選で敗北)
ジュリアーニ(62) (9・11テロ当時のニューヨーク市長)
ロムニー(59) (マサチューセッツ州知事で改革に手腕)
フリスト(54) (上院議員、共和党上院トップの大物)
〈民主党〉
ヒラリー・クリントン(59)(上院議員、夫の前大統領が支援)
ケリー(62) (上院議員、04年大統領選でブッシュに敗北)
エドワーズ(53) (前上院議員、04年大統領選の副大統領候補)
オバマ(45) (上院議員、アフリカ系で人権派弁護士の出身)
(2006年10月26日付朝刊)