2008年3月5日
クリントン氏と握手をして写真に写るジェイソン・レイさん(本人提供)
オバマ氏と肩を組んで写真に写るジェイソン・レイさん(本人提供)
1月下旬、米ウィスコンシン州に住む、ごくありふれた大学生、ジェイソン・レイさん(21)が夕食をとろうとした矢先、携帯電話が鳴った。
「やあ、ビルです」
ビル・クリントン前大統領からだった。
それだけではない。オルブライト元国務長官や04年大統領候補のケリー上院議員からも電話がかかり、クリントン夫妻の一人娘、チェルシーさんからは朝食に誘われた。
政界の大物から続々と電話が鳴る理由は――。レイさんは民主党の「特別代議員」なのだ。
民主党の指名候補を正式に決める8月の全国大会で、自由に投票できる1票を持つ特別代議員の資格は、上下両院議員や党全国委員会委員ら要職につく党員だけに認められ、全米で796人しかいない。オバマ、クリントン両陣営にとって、のどから手が出るほど欲しい1票だ。
全米で最年少の特別代議員であるレイさんが、州の全国委員会委員に選ばれたのは17歳の時だった。友人と手作りの選挙運動をしたところ、素人臭さが受け、本命の消防士組合委員長を破って当選してしまった。
「僕はただの大学3年生に過ぎないのに、前大統領から電話がくるなんて、体が震えたよ」
オバマ、クリントン両上院議員とも会い、どちらも大統領に適任だと感じた。だから2月19日の同州予備選では、投票ブースで5分間立ちつくし、悩みに悩んだあげく、「意中の人」を決めた。決め手は、同世代の若者がオバマ氏を熱狂的に支持する姿だった。
「最年少の特別代議員、オバマ氏を選ぶ」。彼の決断に全米の注目が集まった。8月の党大会でも同じ選択をするつもりだ。「これは一瞬の名声だとわかってる。僕はすぐにありふれた大学生に戻るんだから」
わずかな間、味わった華やかな政治の世界は忘れられないものとなった。夢はもちろん、いつの日か、大統領選に立候補することだ。
◇
民主党党大会で指名候補を決める代議員は、2種類に分かれる。各州の予備選・党員集会によって決められた候補に投票する一般の代議員3253人と、自分の意思で投票する特別代議員だ。
オバマ氏が優位に立つ民主党の指名獲得レースだが、特別代議員の動向次第ではクリントン氏に逆転の目も残るため、両陣営と全米から熱い視線が注がれている。