[シカゴ 8日 ロイター] 世界的な広がりを見せ、1930年代の世界恐慌以来最悪の事態となっている金融危機。ここにきて実体経済にも影響が出始めており、その不安は世界中の消費者にも波及している。
欧米主要国の中銀が先に協調利下げに踏み切ったものの、金融市場の動揺が収まるまでには至っていない。
MSCIワールド株価指数では、過去約12カ月で世界の株式市場から12兆4000億ドル(約1230兆円)を超える額が吹き飛んだ格好だが、そのうちの3分の1以上はリーマン・ブラザース破たんを契機として信用危機が深刻化した過去3週間で消えている。
金融不安の震源地となった米国では、さらなる銀行の経営破たんに備えて預金を現金化する人も出ているほか、米国の自動車販売は、過去15年で最悪の販売台数に直面している。
先行きに不安を抱えていると話すシカゴの不動産仲介業者キャシー・イブチッチさん(45)は「人々は家を買うのをやめた。安定した仕事とお金を持っている多くの買い手がいて、彼らは間違いなくローンを組めるのにおびえている」と語る。イブチッチさん自身は外食をやめ、食料庫に保管していた缶詰の利用方法を考えているという。
ロンドン在住のニール・テーラーさん(39)は、自分が稼いだお金を銀行に預けていて大丈夫か不安に感じている。預金を引き出すことも検討しており、出費を抑える生活のなか結婚式の延期も考えているという。
<世界中に広がる不安>
ロンドンの建築業者スティーブ・ギャラガーさん(52)は、常識がなくなり、拝金主義が蔓延していたと怒りを見せる。「もし自分が詐欺まがいのことをしていたら、解雇されていると思う」と述べた。
キューバ行きの旅行を取りやめたと話すのは、ブエノスアイレスのビジネスマン、ネルソン・ランペルトさん(25)。米ドル建て決済のクレジットカードの負債が旅行中に膨れ上がることを懸念したという。
パリ東部でパン屋を営むラティーファ・モースニさん(56)は「多くの客がこの危機の本当に意味するところが心配だと話している。私たちへの影響は徐々に出てくると思う」と語った。
ポーランドからアイスランドに移住したアダム・ステムピンスキさん(38)は「収入の範囲内でやりくりするのがますます難しくなっている。しかし国は危機を乗り越えると信じている。ポーランドにいるより生活はまだ楽だ」と述べた。
ワシントンで20年以上タクシー運転手をしているジョー・グリーンさんは、客足が減ってチップも少なくなったとこぼす。「何を買うにも苦労している。あるときは靴を買いたかったが、最初にガソリンを入れないといけなかった。ただ20ドル分ではもう遠くまでは行けない」と嘆いた。
スミソニアン博物館のイベントマネジャー、エミリー・チェンバリンさん(39)は、不動産業者の夫が過去3─4カ月で一軒も物件を売れなかったため、来年の夏の旅行計画は保留にしたという。
シンシナティの主婦デボラ・テーラーさん(37)は夫とともに、退職後のための投資資金を商品市場に移すことを検討している。
カンザスシティーで夫婦で菓子屋3店舗を営むジャッキー・マクマホンさん(39)は「毎日何とか生活している。まったく不安だらけな感じだ」と語った。
(ロイター日本語サービス 原文:Michael Conlon、翻訳:宮井伸明)