現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. ロイターニュース
  5. 記事

イラン革命から30年、歴史は繰り返す

2009年6月25日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 [パリ 23日 ロイター] 哲学者ジョージ・サンタヤナはかつてこう言った。「過去を忘れる者は、それを繰り返す運命にある」。大統領選の結果をめぐる混乱が続くイランでは、改革派が30年前のイラン革命を模倣する一方、当局はパーレビ国王が犯した過ちを回避しようと躍起になっている。

 イラン当局は、改革派を中心とした今回の大規模な抗議行動について、1978─79年のイラン革命時の状況と対比することはしないが、首都テヘランでの武力鎮圧や流血騒動は当時の状況を十分に思い起こさせる。

 イランの最高指導者ハメネイ師は、抗議行動を敵対的な西側諸国と「テロリスト」に結び付けて非難しており、先の選挙で再選したアハマディネジャド大統領を支持している。

 1978─79年のイラン革命は、国外に亡命していた反体制派の指導者ホメイニ師のメッセージがモスク(礼拝堂)やカセットテープを通じて広がり、国内外の指導者による強い結束によってもたらされた。

 革命支持者らは当時、シーア派の殉教者追悼行事としての行進を抗議行動の場として利用し、そこで新たな殉教者が生まれるというサイクルが繰り返された。78年1月に地方部で起きた反政府暴動はその後、全土に拡大して大規模なデモに発展した。

 <ストの懸念と情報発信>

 大統領選でアハマディネジャド大統領の対立候補だった改革派のムサビ元首相は、選挙結果は不当であると主張し、抗議活動中に死亡した人の追悼デモを行うよう呼び掛けた。同元首相はまた、自身が逮捕された場合はストも決行するよう求めている。

 しかし、これまでのところイラン国内でストの動きは出ておらず、30年前の革命を支えたバザール商人らも現政権を支持。公共事業の主要な財源である石油収入をもたらす石油業界に対しても、アハマディネジャド政権の支配力は強い。

 イラン革命当時は、抗議行動やスト、死亡事件などの情報は反政府勢力によって海外にも電話で伝えられたほか、BBCワールド・サービスや短波ラジオ放送局を通じても世界に発信された。

 パリに勤務していた記者自身にも、当時は海外に亡命していたバニーサドル元大統領やヤズディ元外相をはじめ、イラン国内で起きている出来事を詳述する内容の電話が殺到した。

 今回の抗議行動の参加者は、かつてホメイニ師の支持者らがカセットテープや電話を使ったのと同じように、インターネット上の「フェースブック」や「ツィッター」などのソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用して海外やメディアに情報を伝えている。

 イラン革命から30年後の現在では、ウェブサイトやテレビ局の運営者など、当時とは違う形での海外支援ネットワークも存在する。著名なイラン人映画監督のモフセン・マフマルバフ氏は、ムサビ元首相の「代役」として、欧州議会やフランスのメディアで発言をしている。

 またイラン国内では、抗議行動参加者が夜間に「アラーは偉大だ」、「独裁者には死を」といったスローガンを叫ぶなど、革命当時のやり方を模倣している。

 <パーレビ国王の失敗>

 当時の人権活動家らにとっては、パーレビ国王の最大の失敗は、国民を敵に回した拷問や虐殺だった。しかし、一部の歴史家は、結果論にはなるものの、反政府暴動の鎮圧に当たって決断力がなく、優柔不断だったことが同国王の最大の間違いだったと指摘している。

 パーレビ国王が鎮圧に乗り出したときは、大規模な暴動を止めるにはすでに時機を失しており、治安部隊の国王への忠誠心にも動揺が生じていた。遅まきながら反体制派に働きかけたときには、ホメイニ師側は譲歩をすべて退け、国王側近らには死刑が宣告された。

 ホメイニ師と後継者が革命から学んだ重要な教訓は、治安部隊を分けておく必要性だ。体制への忠誠を維持し、軍事クーデターを回避するため、イラン革命後には正規軍と並び革命防衛隊が創設された。

 反政府抗議行動の鎮圧には、バシジと呼ばれる民兵組織を含む革命防衛隊が出動し、催涙弾やこん棒のほか、場合によっては銃弾も使用される。

 イラン国民の間には、抗議行動の鎮圧へ向けた当局の決意に疑問を差し挟む者はほとんどいない。問題は、当局による鎮圧が宗教指導者間の亀裂を深め、体制の弱体化につながりかねない長期的な抵抗勢力が新たに生じないかどうかという点だ。

*現在ロイターのコラムニストを務めるポール・テイラーは、1978─79年にフランスおよびテヘランでイラン革命を取材した記者の1人。

(ロイター日本語サービス 原文:ポール・テイラー、翻訳:宮井伸明)

*見出しを訂正して再送します。

ロイタージャパン ロゴ
ロイタージャパン

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
  • 中国特集