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焦点:仏大統領選でサルコジ氏が反転攻勢、乱射事件が追い風に

2012年3月23日

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3月22日、フランス南西部トゥールーズのユダヤ人学校で子どもなど4人が射殺された事件の影響で、再選を目指す選挙を4月22日に控えるサルコジ大統領が、にわかに息を吹き返してきた(2012年 ロイター/Christian Hartmann)

 [パリ 22日 ロイター] フランス南西部トゥールーズのユダヤ人学校で子どもなど4人が射殺された事件の影響で、再選を目指す選挙を4月22日に控えるサルコジ大統領が、にわかに息を吹き返してきた。

 事件後初めてとなる世論調査が20─21日に実施され、対抗馬の野党・社会党(PS)のフランソワ・オランド前第1書記の支持率が29.5%だったのに対し、サルコジ大統領は28%と、1カ月前には5%ポイント開いていた差が縮まった。

 今回の事件は、治安や移民の問題を政治の最重要課題として浮上させた。仏調査機関CSAのジェローム・サント・マリ氏は、サルコジ大統領の追い上げについて、危機的状況下で国民が自然に現職指導者を支持するようになったと分析する。同氏はミッテラン元大統領を引き合いに出し、元大統領の支持率が最も高かったのも、フランスも参戦した湾岸戦争当時の1991年だったと指摘した。

 イスラム過激派とみられる容疑者の死亡という今回の事件の幕切れから間もなく、サルコジ氏はイスラム過激派に対する新たな政策導入を発表。海外過激派との交流制限や、刑務所での過激思想の取り締まりなどの対策を打ち出した。

 <事件が変えた風向き>

 サルコジ大統領は射殺事件前の3月11日の演説で、国内に外国人が多すぎると発言。特定の欧州国家間を自由に行き来できることを定めたシェンゲン協定の見直しを提案し、論争を巻き起こしていた。

 だが、サルコジ陣営の選挙アドバイザーは、匿名を条件に「この事件で風向きが変わったのは間違いない」と話す。「以前は治安やテロについての議論が乏しかったが、この事件が社会統合システムなどに問題を投げかけることになるだろう」と予測した。

 <消えた「不戦勝」の公算>

 サルコジ大統領とオランド氏は、事件発生を受けて一時的に選挙活動を停止し、両者とも国民の結束を呼びかけた。しかし、現職大統領が事件の容疑者逮捕に向けて指揮を執る姿などがテレビで映し出されると、オランド氏の影は薄くならざるを得ない。

 サルコジ大統領が緊縮策の提案などで国民からの支持を失う中、オランド氏はこれまで、致命的なミスさえ犯さなければ選挙戦で不戦勝同然で勝利できるとみられていた。

 しかし大統領支持派は、オランド氏がイスラム過激派の脅威から目を背けていると非難。与党の国民運動連合(UMP)からも「オランド氏が掲げる政策では、治安問題が重要視されていない」と指摘する声もあがっている。

 <現職の支持拡大に追い風>

 オランド氏の選挙アドバイザーは、事件に動揺せず、改めて雇用問題や経済成長を我慢強く訴えていくべきだと強調する。

 一方で、サルコジ大統領は極右・国民戦線のルペン党首からの反撃を受ける局面を迎えている。同党首は、政府のイスラム過激派への対応は軟弱だと指摘。「フランスはイスラム原理主義者たちの手に渡ってしまった。危機が過小評価されている」と主張した。

 また、立候補を表明している中道・民主運動のバイル議長も、大統領の役割は国を1つにすることであって、分裂させることではないと非難した。

 サルコジ大統領がオランド氏に勝つためには、ルペン氏やバイル議長といった候補者の支持者から票を集めなければならない。今回の事件で存在感を示したサルコジ大統領。強硬姿勢で右派やナショナリストからの支持を集めつつ、国の結束を呼び掛ける姿で中道派の支持も得られる可能性がある。

 (ロイター日本語サービス 執筆:Paul Taylor記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)

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