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中国空母に「釣魚島」命名案も、海軍増強で領有権主張強化

2012年8月29日

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8月29日、中国本土から離れた地域での軍事プレゼンス強化を目指す中国海軍にとって、空母導入は最優先事項。空母に「釣魚島」と名付ける案も出ている。写真は大連の港に停泊するウクライナ製の「ワリャク」とみられる空母。4月撮影(2011年 ロイター)

 [29日 ロイター] 今月19日、日中両国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)に日本の活動家らが上陸した裏で、中国で最も強硬なタカ派軍事コメンテーターの1人が、同国初の航空母艦「ワリヤーク」を「釣魚島」と命名すべきだと提案していた。

 提案したのは、人民解放軍少将で中国軍事科学学会副秘書長の羅援氏。同氏は、空母を「釣魚島」と名付けることで、釣魚島の主権を示すことになると語った。

 ただ、今回の提案は、中国と近隣諸国との関係を緊迫化させている一連の領土問題をめぐる羅氏の主張の中では、好戦的トーンは控えめと言えるものだった。

 羅氏の過去の強硬発言としては、今年4月、中国とフィリピンが領有権をめぐり対立する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)について、挑発されれば中国海軍が「徹底攻撃を行う」と警告したものなどが挙げられる。羅氏のトーンが以前に比べれば抑制されている理由について、軍事アナリストらは、領有権問題のある場所に中国が空母を配備できる時期が2010年代の終わりにずれ込む可能性があることを指摘している。

 中国国民からは、ウクライナから購入し改修したこの空母が就役すれば、強力な海軍の旗艦になるとの期待が高まっている。しかし、軍事専門家は、この空母にはまだ、戦闘機や武器、電子機器、訓練、後方支援体制が十分に整っていないと分析。独立系の軍事シンクタンク「エア・パワー・オーストラリア」のカルロ・コップ氏は、「不確定要素はかなりある。完成まで3─5年はかかるだろう」との見方を示す。

 中国メディアの報道によると、空母は先月、9回目の試験航行を終えて、北東部の大連に帰港。中国の研究者の中には、空母は今年中にも就役する可能性があると予想する研究者も出ていた。

 一方、人民解放軍の幹部らは早期就役の見方を否定し、任務に対応できるまでにはまだ時間がかかり、今後も試験航行を重ねていくと強調している。

 また専門家の話では、「ワリヤーク」が就役したとしてもその任務は限られ、主に訓練用として用いられる見通し。それは、2015年以降に中国初の国産空母の配備が予定されているからだ。

 中国軍に関する非公式のブログやウェブサイトによると、上海近郊の長興島にある造船所で国産空母建造が計画されている。ただ、衛星写真を調べているアナリストらは、建造を示す証拠は見つかっていないとしている。

 いずれにせよ、中国の空母配備は、領有権の主張を強化する決意の表れであり、強力なシグナルを送っていることを意味するという点で、アナリストの意見は一致している。

 空母の実戦配備はまだ先かもしれないが、空母計画自体が中国が進める軍事増強のシンボルだ。中国本土から離れた地域での軍事プレゼンス強化を目指す中国海軍にとって、空母導入は最優先事項であり続けている。

 中国の軍拡に対する周辺地域の警戒感も根強い。今年発表された日本の防衛省防衛研究所のレポートでは、「ワリヤークが南海艦隊に配備されれば、中国が南シナ海において圧倒な海軍力を係争国に対して誇示することになり、この地域における軍拡競争を招く可能性がある」との懸念が示された。

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