2008年2月12日
日本でも認知度が高まってきた韓方化粧品「雪花秀」は、アモーレパシフィックと慶煕大学校の産学連携で生まれた
双竜建設が国民大学デザイン大学院との連携で作成したマンション外観のデザイン画
ソウル大学がこの春、韓国の大学として初めて持ち株会社を設立することが話題になっています。これは昨年7月に国会を通過した「産業教育振興及び産学協力促進に関する法律」を受けたもので、大学の企業活動の本格化を告げる出来事といえます。
大学のビジネスと聞くとまず思い浮かぶのが、企業と大学が協力する「産学連携」です。韓国で産学連携が活発化し始めたのは90年代以降といわれています。
大学は「技術」と「人力」を、企業は「資金」と「マーケティング能力」を活用して成果を挙げるのが理想的な産学連携モデルとみられています。
産学連携にはどんなメリットがあるのでしょうか? まず、企業側からみると、リスクの大きい基礎研究の推進、新製品や新技術の開発によるコストダウン、技術・経営ノウハウなどの入手、大学の持つ頭脳・人脈、研究施設の活用、人材育成などのメリットが挙げられます。
大学側からみると、社会貢献、研究の活性化、企業からの資金援助、学生の実務習得の機会増加、就業機会増加などのメリットなどが挙げられます。こうしたメリットがあるため、韓国学術振興財団によると2005年の時点で専門大(短大)以上の358大学のうち93%に当る333大学が産学連携を行なっているといいます。以下はその代表的なモデルです。
○韓方化粧品
韓方(漢方)化粧品は韓国だけではなく日本、中国など周辺国でも人気を集めている。人気とともにメーカー間の競争も激しくなり、独自の原料開発、医学的処方などの研究に各社が力を入れている。その代表と言えるのが韓方化粧品の「雪花秀(ソルファス)」。慶煕大学韓方医科とアモーレパシフィックの連携で生まれた。同様な例としては、大邱大学韓方医科の韓化粧品研究所とジベル化粧品の敏感肌専用化粧品がある。
○マンションの外観デザイン
双竜建設は2003年から国民大学デザイン大学院との連携で、マンション外観デザインの研究を進め、2006年に地域・年齢・坪別にデザインの差別化を図り、著作権13件を登録した。
○ピザ
晋州保健大学は外食産業の韓国ミスターピザと連携し、外食産業学部に「ミスターピザ」の専攻学部を開設。ピザ専門の人材供給を計画している。専攻した学生の50%は韓国ミスターピザに就職するという。
○アニメーション
産学連携で作られたアニメーションがケーブルテレビなどで放送されている。アニメ専門チャンネル「トゥーニーバス」で週2回放送される『ドラドックス』は釜山のネオテクノロジー社と東西大学映像事業団の連携による作品。また、『ミミとタタの美術探険隊』は、企画演出をベデコリア社が、詳細企画と製作はチョンカン文化産業大が担当した。
○オーダーメイド教育
産学連携に力を入れているヨンジン専門大学は「オーダーメイド教育」を取り入れている。これは卒業生が就職する企業から、教育内容と必要な人材像をあらかじめ聞き、それに合わせて実務を中心にカリキュラムを作成するもの。就職難の韓国では注目度が高い。
日本での産学連携はどんな動きを見せているのでしょうか? 昨年まで雑誌『DIME』で「大学は美味しい!!」という産学連携に関する記事を連載していたライターの佐々木ゆりさんに聞いてみました。
「日本でも、産学連携は学部を問わず以前からかなり進んでいますが、一般に知られる機会がありませんでした。そんななか、2004年に施行された国立大学法人化にともない、国立大学が自校のPRのために大学ブランド食品を開発するようになりました。東大ブランドの泡盛「御酒(うさき)」、北大のハム「永遠の幸(とこしえのさち)」などはその代表です。『DIME』の連載で37大学39研究室の食品開発の物語を取材しましたが、それをきっかけに『大学は美味しい!!フェア』が2月16日〜20日、東京の新宿高島屋で開催されることになりました。24大学が参加する初めての大学ブランド食品の物産展です。産学連携は、大がかりな研究施設をもたない中小企業にとっては製品開発の場を広げるチャンスとなります。社会的な信頼度も高まるので、商品に付加価値をつけられます。そして、大学にとっては研究費を独自に稼ぐことができるメリットがあるのです。産学連携は今後ますます活発になるでしょう。また、3月には広島大学大学院と野村乳業が開発したヨーグルトを、ソウルの南陽乳業が韓国で発売します。日韓の産学連携も動き出しているのですね」(佐々木ゆり)
協力:佐々木ゆり
フリーライター、栄養士。「生」をテーマに医療、大学食品、動物などを中心に取材執筆。著書に『大学は美味しい!!』(小学館、2月12日発売予定)、『障害犬タローの毎日』(アスペクト)など。
1967年生まれ。世宗大学院修士課程修了後、日本に留学。訳書に 『宮廷女官 チャングムの誓いのすべて』、 『家庭で作れる「チャングム」の韓国宮廷料理』、 『コリアン・ダイエット』(光文社)。 著書に『マッコルリの旅』(東洋経済新報社)、『韓国・下町人情紀行』(朝日新聞社)、 『韓国の美味しい町』(光文社)、 『韓国の「昭和」を歩く』(祥伝社)、 『韓国料理用語辞典』(日本経済新聞社)、 『一気にわかる朝鮮半島』(池田書店)など。 鄭銀淑のページ