現在位置:asahi.com>国際>スパイシー!ソウル> 記事 新たな観光資源「旧・日本人街」ベスト102008年05月08日 日本式家屋やヨーロッパ式近代建築、軍事施設など、日本植民地時代の名残を訪ね歩く紀行本を書いてから丸3年が過ぎました。当時は俗に言う「日帝残滓」について書くことは、韓国に対しても日本に対してもためらいがあったのですが、この3年で風向きは大きく変わっています。日本家屋街を保存し、日本人向け観光資源として活用しようという動きが各地で活発化してきているのです。長らく「敵産家屋」などと呼ばれてきた日本家屋が、ようやく日の目を見ようとしています。そこで今回は、日本人観光客の目線で、観光資源としての旧・日本人街ベスト10を挙げてみました。
第1位 鎮海(慶尚南道) 日本家屋が広い範囲で残されているのはもちろん、鎮海郵便局のある中園ロータリーからは放射線状に道路が8本延びている様子は、東京の田園調布駅前を思わせます。春の桜祭りの季節に訪れれば、日本に住んでいる人なら誰もが心躍るはず。帝皇山に登れば、展望台から韓国海軍基地(旧・日本海軍基地)に係留されている軍艦の姿を見ることができます。 第2位 江景(忠清南道) 忠清南道と全羅北道の境界線にある静かな田舎町ですが、中央路を中心に、まるで映画のセット場のように日本家屋が多く残っています。日本家屋街の一部は名物の塩辛販売店に変わってしまっていますが、それ以外の商業建築が少ないため、静かに往時に思いをはせることができます。また、中央路はソル・ギョングが主演した韓国映画『熱血男児』(2006年)のロケ地でもあります。 第3位 群山(全羅北道) 群山で撮影された韓国映画『八月のクリスマス』(1998年)は日本で特に評価された作品ですが、主演のハン・ソッキュやシム・ウナと並ぶもうひとつの主役は、日本家屋がそのままの姿で残る月明洞の町並みもしれません。群山には住宅だけでなく、錦江沿いの大通りにある「群山税関」「朝鮮銀行群山支店」、明山洞の「東国寺(旧・金光寺)」、明山市場の遊郭跡地、群山女子高近くにある「韓国製缶官舎」の入母屋造りの屋敷など、見どころが満載です。私は静かな町が好きなので、鎮海と江景を上位にしましたが、観光資源の質と量、情緒などを総合的に評価したら、群山が文句なしの1位だと思います。 第4位 木浦(全羅南道) KTXの開通で半島の西南端にある木浦もだいぶ近くなりました(ソウルから約3時間)。木浦駅を出て左後ろの方向に広がる海産物屋街と旅館街を歩けば、多くの日本家屋と出合えるでしょう。儒達山の南側のふもとにある「木浦文化院(旧・日本領事館)」から見下ろす儒達洞、中央洞一帯には日本家屋街が広がっていますが、ここ数年、建て替えが進んでしまっているのが残念です。点としての見どころには、駅近くの旅館「イリジャン旅人宿(元は和風住宅)」「木浦中央教会(旧・東本願寺木浦別院)」「七十七階段(旧・松島神社)」「木浦近代歴史館(旧・東洋拓殖会社木浦支店)」「カフェ幸せいっぱいの家(旧・東洋拓殖会社官舎)」などがあります。 第5位 羅州(全羅南道) KTXの停車駅である羅州駅からタクシーで15分ほどの栄山浦で降りると、栄山江沿いの通りに日本家屋が連なっています。私が初めて訪れたときは雪が降っていて、それが町並みをより寂しげに見せたため、強く印象に残っています。必見は岡山県出身で羅州の大地主だった黒住猪太郎の邸宅。木材がぜいたくに使われたその家からは当時の栄華が偲ばれます。栄山浦はエイ問屋が集まる場所でもあるので、有名なエイ料理店「ホンオ一番地」で、エイ刺しとマッコルリを楽しんでもいいでしょう。 第6位 大邱広域市 大邱駅前の日本式長屋が集まっている一角が気になって、何度も訪れています。日本で言う「ドヤ街」に当たるのでしょうか? 日本のみなさんがご覧になったらおそらく衝撃を受けることでしょう。活気もなく、駅前という場所柄から、いずれ撤去されてしまうのではないでしょうか? また、日本時代は「村上町」と呼ばれた繁華街で、現在は中高年男女の遊び場として知られる香村洞にも、日本家屋は多く残っています。大衆酒場でマッコルリをひっかけてから、瓦の屋根を求めて路地裏を探索するのも楽しいと思います。 第7位 浦項(慶尚北道) 最近、浦項の九龍浦にある日本家屋が日本人向け観光資源として整備されると報道されたので、すぐに訪れたのですが、少々期待はずれでした。海岸通りから一本裏に入った通りに日本家屋が連なっていますが、写真栄えするところはあまり多くありませんでした。塗装し直されたり、補強されたりしている家屋が多いので、往時に思いをはせるにはもうひとつという感じ。しかし、市の中心部にある竹島市場の細い路地裏には、庶民的な日本家屋が散見され、昼間のんびり散歩するにはいいところです。 第8位 釜山広域市 釜山観光ホテルの北側に位置する東光洞、国際市場の西側に位置する宝水洞、富平洞、南富民洞などに、保存状態のいい日本家屋が残っています。点としての見どころには、「釜山近代歴史館(旧・東洋拓殖会社釜山支店)」「釜山気象庁」、東來温泉の「東來別荘(旧・迫間別荘)」などがあります。変りダネは佐川洞のマッコルリ酒場。ここは日本人が掘った防空壕をそのまま居酒屋として活用しています。 9位 仁川広域市 国際港湾都市・仁川は日本の横浜のようなところです。横浜に異国情緒があるように、仁川にも日本や中国を偲ばせる町並みが多く残っています。なかでも新興洞の傾斜地には日本家屋が密集しており、ここに来ると私は反射的に日本留学生活を思い出してしまいます。中央洞には「旧・第一銀行仁川支店」「旧・第十八銀行仁川支店」「旧・第五十八銀行仁川支店」など、日本時代の近代建築が残されています。 第10位 統営(慶尚南道) 統営港を取り囲む中央洞、港南洞、東湖洞の住宅地に、日本家屋が点在しています。また、日本語由来の「タチチプ」と呼ばれる大衆酒場が集まる忠武橋のたもとでは、1932年に日本人が作った海底トンネルが今も健在です。 番外 ソウル 日本時代、「京城」と呼ばれたソウルにも、もちろん日本家屋は残されています。もっとも効率よく見ることができるのは、景福宮の東側にある三清洞と、南山の西側のふもとにある葛月洞、厚岩洞、南営洞あたりです。竜山高校の近くにはかつての神社跡地に至る108段の階段が残っています。 プロフィール
PR情報スパイシー!ソウル バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
特集
アサヒ・コム プレミアム朝日新聞社から |