現在位置:asahi.com>国際>国際支援の現場から> 記事 インド洋津波から3年、東部で始まった新たなプロジェクト2008年01月09日 JEN@スリランカ スリランカへ赴任して、まず感動したことは、なんといっても海の美しさです。
内陸の国アフガニスタンから転勤したために、陽光を浴びてきらきら輝く青い海は、スリランカの第一印象として私のまぶたに焼き付いています。事務所のある大都市コロンボから、ほんの少し離れたところには美しいビーチがあり、週末ともなれば多くの家族連れや恋人たちが集い、思い思いの時間を過ごしています。また、市場には新鮮な魚介類が並び、人々の暮らしが海と密接な関係にあることが、生活の端々に感じられます。 そんな海が凶暴な牙となったインド洋津波から3年。JENは、2005年から今年の9月まで、南部ハンバントタ県にて津波被災者への支援を行ってきました。津波で住居を失い再定住地に移住した住民に、家庭菜園の促進、魚網作製のトレーニングや、子どもたちへの課外活動を行い、人々の新しい生活が軌道に乗るよう支えてきました。 家庭菜園では、種や苗を配布するだけではなく、野菜栽培に必要な技能を伝授する講習も行いました。ものを配るだけではなく、栽培する技術も伝えたJENの活動は、事業終了と同時に地元のコミュニティへと受け継がれ、復興から自立のステージに進んだ地元の人々主導で継続運営されています。 事業終了時にモニタリングで訪れたある村で、「収穫した野菜を、子どもの学校のバザーで売ることができた」と話す女性の笑顔は、太陽のように明るく、取り戻した自信が感じられました。 各地で津波復興が進む一方で、スリランカでは、シンハラ人を主体とした政府とタミル人武装組織「タミール・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で、20年以上に渡り民族紛争が続いています。出口の見えないこの紛争によって、多くの深刻な社会問題が発生しています。 特に、スリランカ北・東部の沿岸地域に住む人々は津波被災者である上に紛争被災者でもあり、生計の回復が極めて難しいものになっています。中には、20年の間に8回も避難生活を余儀なくされた人もいます。また東部では、依然として津波で傾いたお寺や、壊れた住宅を撤去した更地が悲しく横たわり、3年経った今も津波の爪あとが深く残っています。 そこで、JENは新たに東部バティカロア県ワカライ郡にて紛争被災者への支援を開始しました。ジェンの活動地はLTTEの支配地域であったためさらに支援が届きにくく、復旧・復興の波から取り残されている地域です。 スリランカは農業の次に漁業人口が多く、この地域の住人の多くもまた、津波の前は漁業を生業としていました。JENは「帰還してきた人々がもとの職業に戻り、生計を立てられる」ことを目標に、失われてしまったボートや魚網の配布、住民への職業訓練や漁業組合の能力強化を通して人々の再定住を支援しています。同時に、心理カウンセリングを通して、心理社会的な「心のケア」支援も実施しています。 「インド洋に浮かぶ真珠」と謳われたスリランカは、本当に美しいところです。反面、後を絶たない爆発事件や、連日の民族紛争に関する新聞記事、現地の人との何気ない会話の中に、民族間の溝の深さを感じることもあります。 現在は、主に少数民族タミル人の居住区で帰還民の再定住を支援していますが、真の平和構築に貢献するには、なにがベストなのか、−そういう大きなテーマを考えさせられる日々です。 JENのコロンボ事務所には、国際スタッフのほかに多数派シンハラ人のスタッフ、タミル人のスタッフもいます。異なるバックグラウンドの集団が、チームとして有機的に機能していくことは、「民族紛争とは何か」「平和とは何か」を考えていく上で意味のあることだと思っています。 長引く紛争と津波で心に深い傷を負った人々に笑みが戻る日はいつなのか、バティカロアの復興に向けて試行錯誤を重ねる日々が続きます。
【メモ】 ―その3 JENの任務と希望― JENは全ての事業で「人間が本来持っている自助自立の力を後押しする」という姿勢を貫き、「与える」支援ではなく「支える」支援を行ってきました。 1994年から継続して旧ユーゴスラビアでの支援を実施し、セルビア・モンテネグロでは、当初は紛争後の心のケアのための「心理社会事業」として実施していた編物ワークショップが、2003年には質の高い商品を製作・販売するまでに成長し、収入創出に結びついています。 2003年までに活動範囲をアフガニスタン、エリトリア、イラクに拡大。2004年以降では、パキスタン地震と津波のスリランカで、災害直後の緊急支援から始まり、復興段階まで息の長い支援を続けています。エリトリアでは配偶者を亡くした女性たちの自立支援、イラクではバグダッド近郊で小学校修復、アフガニスタンに帰還してきた人たちのための住宅再建事業など、いずれもその地で活動する唯一の日本のNGOとして、現地の人たちの自発性を重視し、彼ら自身の手による持続的な復興を促進することに成功しています。 また、現地の人たちと日本を結ぶ役割を担い、講演やセミナー、ワークショップ等を通じて国内における平和教育にも尽力しています。
【インフォメーション】 ■2007年 歳末募金へ ご協力をお願いします 〜気づくことが、柱になり応援することが、レンガになる。かつての僻地は、学びの地となりました〜 困難な生活をおくる人々が無事に年を越し、2008年が希望にあふれる一年となりますよう、JENとともに、応援してください。 ◎最寄りの郵便局へお運びいただき、窓口に設置してある「払込取扱票」または「郵便振替払金領込請求書兼受領証」をご利用の上、お振込みください。 ・郵便振替口座 00170−2−538657 ・口座名 JEN ・通信欄に、ご寄付の種類をご記入ください。ご記入がない場合には「一般寄付」とさせて頂きます。また、領収書を必要とされない場合は、「領収書不要」とお書き添えいただければ幸いです。 ■「スノーバスターズ2008」 1月18日(金)スタート! 〜新潟の農村での、除雪ボランティア〜 日本全国のチカラを新潟に!JENは今年も除雪ボランティアを募集します。 新潟の雪は水分が多く、重いのが特徴。積雪4メートルを越すことも珍しくない地域ですが、過疎のために雪堀りの人手も不足しがちです。「スノーバスターズ2008」では、1月から2月にかけて4回にわたり、池谷・入山地区の「JENセンター(やまのまなびや)」にステイをしながら除雪に参加していただきます。 過去3年間のスノーバスターズ参加者は、延べ157名。毎回早い時期に満員となっていますので、今回もお早目にお申し込みください!初めての方もリピーターの方も、除雪を通じて新潟の農村を体験し、村おこしについて考えてみませんか? ☆詳しくはJENのホームページ(http://www.jen-npo.org/participation/field.html#3)をご覧ください☆ これまでの「スノーバスターズ」、活動の模様は、JENの支援速報(http://jenhp.cocolog-nifty.com/jen_niigata/cat6730590/index.html)でご覧ください☆
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