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国際支援の現場から

多くを学び夢を語る

2008年02月19日

JEN@パキスタン

 雪が積もる冬の間は、村から出ることができない陸の孤島。政府の役人さえもめったにやってこない山奥の、人々から忘れ去られた村。それがバーグ県ハベリ郡ベディ地区です。ベディ地区はインドとの国境にほど近いカシミール地方の標高1500メートルから2000メートルの山間部に位置します。このアクセスの不便な地区もまた、2005年10月に発生したパキスタン地震により、甚大な被害を受けました。

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山にへばりつくように立っているべディの家々

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雪山で囲まれた事業地、バーグ県ハベリ郡

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べディの道路は舗装されていないため度々車が立ち往生してしまう

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壊れた校舎の周りで学習を続ける子どもたち

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スポーツ大会で子どもたちに歓声を送る大人たち

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スポーツ大会後の表彰式で

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この日が待ち遠しかった。順番に文房具を受け取る児童

大地震発生直後から、JENはバーグ県ハベリ郡の各地区にて、地震被災地域の教育環境改善支援を継続して行っています。ハベリ郡はイスラマバードから北へ車で8時間離れたところにあります。ハベリ郡全体が、インフラの整備されていない山間地域の上、中でもベディ地区は最もアクセスが難しいためにこれまでNGOが入らず、支援が届いていませんでした。JENは忘れ去られたこの地区で、地震に被災した子どもたちを対象に教育支援を行っています。

 ベディ地区では、地震によりすべての学校が被害を受けました。にも関わらず、支援が届かなかったために、子どもたちは地震の恐怖やトラウマを抱えながら、屋外での勉強を余儀なくされていました。また、地震以前から質素な生活を営んできた地区だったので、最低限必要な黒板や文房具すらない学校がほとんどでした。そこでJENは、学校用備品の配布やスポーツ活動、教員研修を通して心のケア事業を行いました。

心のケア事業の中でも特に盛況だったのがスポーツ大会でした。大会当日、まず驚いたことはギャラリーの数でした。普段、電気の通わない山の中で、人々の娯楽とえいばおしゃべり中心。外国の団体がスポーツ大会を開催するらしい、という噂は一瞬にして村中に広がりました。そして、現地の大人たちが続々と、珍しい娯楽を求め集まってきました。一生懸命に競技を行った子どもたちの姿も印象的でしたが、なによりも印象的だったのは、大声援をおくるギャラリーの大人の笑顔でした。

 「地震のあと、私たちは笑うことを忘れていた。外に出て体を動かすことがこんなに楽しいなんて、初めて知ったよ」と参加した学校の先生は語ってくれました。スポーツ大会の後も、子どもたちはJENが配布したスポーツ用品を使って、休み時間や放課後に運動を楽しんでいます。

 ベディ地区のある学校を訪れ、文房具を配布していたとき、「お姉さんみたいな仕事につきたいんだけど、どうしたらいいの?」とある少女から質問されました。こんなに山奥の学校までやってきた外国人に驚きながらも、JENのように困っている人を助ける仕事につきたい、というのです。「まずは、学校に通ってしっかり勉強することが大切です」、私はそう答えました。

 54%というパキスタンの識字率からも分かるように、人々の教育への関心は低く、特に、ベディ地区のような都会から離れた地域では、学校での勉強よりも家庭の手伝いが子どもたちの役割だと考える人がいます。どんな境遇にある子どもたちにも公平に、そして快適な学習環境を支援することで、たくさんの選択肢がある未来を提供していきたいとJENは願っています。

 ベディ地区にある学校への道のりは険しく、大型トラックが通れるような道はありません。曲がりくねった細い山道を四輪駆動の車で慎重に登ったり下ったりしながら村に到着すると、さらに、学校までは徒歩で山を登ります。到着した山の頂では、子どもたちがうれしそうに一列に並び、文房具の配布を待っています。彼らの笑顔を見たとき、「学校に通いたい」、と切実に願う気持ちを実感するのです。

政治家の暗殺事件や部族間闘争など、暗いニュースばかりが目立つパキスタン。そんな苦境の下、カシミールで起こった大地震の被災地に生きる人々は気丈に振舞っています。大人たちは集い、おしゃべりし、体を動かすことを楽しみ、子どもたちは学校に通う日を楽しみにしています。笑顔で生きたいという、幸せを願う気持ちは万国共通なのです。

(イスラマバード事務所長 山田絵美)


【メモ】

 2005年10月のパキスタン地震直後にバーグ県ハベリ郡での緊急支援を開始しました。教室用大型テント249張を設置、翌2006年は簡易トイレの設置など衛生環境の改善事業や防災教育をはじめ、耐震構造の小学校2校を再建しました。

2007年は教育環境改善事業を実施、教育、水・衛生面の地震復興支援を継続。96校の老朽化した学校用テントを補強したほか、学習机・椅子の配布、地震に関する正しい知識を身につけるため、学校防災教育を行いました。さらに、耐震構造の学校再建も実施。12月に完了した水衛生事業では、120校に安全な飲み水の整備と449台の簡易トイレを設置。学校建設に伴って設置した手洗い場やトイレを正しく使うため、衛生教育も実施しました。

現在、ベディ地区にて耐震構造の学校再建をはじめ、アートワークショップや児童スポーツ活動などの心のケア事業を実施しています。 

パキスタンの事業についてもっと知る!⇒JENパキスタン支援速報

【インフォメーション】

1.南部スーダンの今を知ろう。ドキュメンタリー「大地に響く歌」、JICA横浜にて上映

今年5月に開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に向けて、アフリカへの理解を深める様々なイベントが全国各地で開催されています。

来る3月14日(金)、「【第4回JICA横浜フィルム上映会】Refugee Film in JICA横浜」にて、JENが自主制作したドキュメンタリー「大地に響く歌 一人ひとりが築く未来へ」(放映時間:20分)が上映されます。

現地の人々の声やJENのプロジェクトの実施風景を映像に収めたドキュメンタリー。アフリカを知るきっかけに、そしてJENを知るきっかけに、皆さま、奮ってご来場ください。当日は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、JICA(独立法人 国際協力機構)とともに、JENからも海外事業部スタッフが支援についてを語ります。

2.サポーターオリエンテーション、毎月開催中!

「JENってどんな団体?」

「ボランティアしてみたい」

「JENのスタッフに事業について聞いてみたい」

JENでは、毎月1回東京本部事務局で、「サポーターオリエンテーション」を実施しています。

2008年3月15日(土)10:30〜12:30

2008年4月12日(土)10:30〜12:30

内容:JENの概要説明、スタッフや既にサポーターとして活動している人たちとの質疑応答

お気軽にお申込みください!

お申込・お問い合わせはJEN東京本部事務局まで。

TEL:03−5225−9352

E−mail info@jen-npo.org

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