現在位置:asahi.com>国際>国際支援の現場から> 記事 命懸けでイエメンへ渡るボート難民たち2008年04月02日 国境なき医師団@イエメン ソマリアやエチオピアで起きている紛争から逃れるため、多数の難民・移民がソマリア北東部から密航船でアデン湾をわたり、イエメンへと入国している。定員の数倍の難民を乗せた小船での航海は極めて過酷であり、毎回多数の負傷者や死者、行方不明者が発生している。紛争を逃れ、より良い暮らしを求めてイエメンへわたる人びとは後を絶たず、2007年初めから同年12月中旬までに約2万8000人が船でアデン湾をわたり、少なくとも651人が移動中に命を落とし、659人が行方不明となっている。国境なき医師団(MSF)は2007年9月から、イエメン南部のアビヤン・シャブワ両州の沿岸に到着する難民たちに、食糧や水、緊急援助物資の提供や、医療・心理ケアなどの緊急医療援助を行っている。
(1)イエメン沖に到着した密航船。このような定員30人ほどの小さな船に90〜120人が乗せられ、超満員の状態でソマリア北東部を出発し、イエメン沿岸部に到着する。到着までの3〜4日間、難民たちは船が転覆しないよう、身動きせずにじっと座ることを強いられ、排尿も許されない。船を仕切る密航業者によって互いの体を縄で縛り付けられることもある。 (2)岸にたどり着いた人びと。船での航海中、難民たちは一切の荷物を持ち込むことが許されず、食べ物はおろか、飲み水すらほとんど与えられない。こうした厳しい状況に耐えられず、航海中に命を落とす人もいる。遺体はたやすく海に投げ捨てられる。密航船はイエメンの沿岸警備隊から摘発されるため、難民たちは時には岸に到着する前に、真夜中の海の中へ飛び込むことを強要される。泳げない人はそのまま溺れ死に、遺体が浜に打ち上げられる。 (3)密航業者からナイフで傷つけられた男性。難民たちは航海中、窮屈な姿勢を強いられ、少しでも動くと密航船の乗組員から殴る蹴るなどの暴行を受け、時にはナイフで切りつけられる。全身に殴られた痕跡のある、モガディシオ出身の25才の女性は語る。「私たちは人間ではなく、動物のように扱われました。」到着した難民たちには、身体の痛みや脱水症状、暴力を受けたことを示す打撲傷や心的外傷の兆候などが見られ、緊急ケアを必要としている。 (4)2007年12月15日、国境なき医師団(MSF)のチームは、イエメン沿岸のアルカ付近で56人の遺体を発見した。生存者の証言によると、148人が乗った密航船が海岸付近に到着し、難民たちは海に飛び込むよう強制された。これを拒否した人が密航業者から殴打されて船内がパニックに陥り、人びとが船の片側に集まったため船は転覆したという。チームが確認した生存者は49人で、ほとんどの人が泳げずに溺れ死んだ。チームは、生存者が体に負った傷の手当や、食糧・救援物資の提供、心理カウンセリングを行った。 (5)この悲惨かつ危険な航海を行う理由について、モガディシオ出身のある男性は語る。「私にはこうするしかありません。たとえ海で溺れ死ぬとしても、私はイエメンへ行かなければならないのです。生き残れるかもしれません。けれども、モガディシオに帰れば、私は死にます。」しかし難民の多くは、紛争から逃れるための船旅がこれほど困難なものとは予想していなかった。モガディシオ出身の別の男性は語った。「船旅よりは戦争の方がまだましです。もしもソマリアで食べ物が手に入るとしたらの話ですが。」 ▼MSFのイエメン関連ニュース一覧はこちらから
<インフォメーション> ■イエメン・ボート難民への援助活動報告会を4月9日に開催 国境なき医師団(MSF)よりイエメンに派遣され、ソマリアからイエメンへと脱出したボート難民の救援活動を行った内科医の萩原麻美子医師による帰国報告会を、4月9日(水)19時からこどもの城(東京都渋谷区)にて開催します。皆様のご来場をお待ちしております。詳細はこちらをご覧ください。 ■ 「国境なき医師団写真展:TUMAINI=hope・命をつなぐ−ケニア、エイズ治療の現場から」を4月から開催 2008年4月、表参道GYREにてGYRE主催:「国境なき医師団日本写真展: TUMAINI=hope・命をつなぐ −ケニア、エイズ治療の現場から−」を開催致します。ケニアのHIV/エイズの現状、国境なき医師団の取り組みを写真とパネルでご紹介します。 会期:2008年4月19日(土) 〜 2008年6月1日(日) 会場:表参道GYRE 2F EYE OF GYRE 渋谷区神宮前5−10−1 (11:00〜20:00)入場無料。 お問い合わせ:TEL 03−5337−1502(平日10:00〜18:00) ■ MSF DAY 2008 2007年に引き続き2008年も国境なき医師団のイベント「MSF DAY」を開催することが決定しました。会場でしか見ることができない国境なき医師団制作のドキュメンタリー映画の上映会、そして海外派遣スタッフによる講演会を通じ、人道援助とは何かを皆様と考える一日です。今年は札幌、福岡、仙台など国内7都市で開催。詳細については、随時こちらでお知らせします。 ■ 世界結核デー 2008 3月24日は世界結核デーです。MSFの特集ページでは結核の診断・治療の現状を紹介するとともに、新たな診断法とMSFが活動を行う環境に合った治療法の発見が急務であることを訴えています。MSFの活動国における結核治療や患者の証言など、記事を随時追加、更新していく予定です。是非ご覧下さい。 ■命を救うために毎日できることは何だろう。 「1日50円キャンペーン」は、1日あたり50円または任意の金額を、1ヵ月ごとに口座から振り替えていただく継続的なご寄付の方法です。安定した資金が確保できるため、緊急事態へのより迅速な対応が可能となり、またより長期的な視野に立ったプログラムづくりを可能にする支援方法です。ぜひご参加下さい。お申し込みはこちらから。 ■海外派遣スタッフ 参加者募集中 MSFでは、活動に参加できる海外派遣スタッフを常時募集しています。医師、看護師、助産師、臨床検査技師、臨床心理士、薬剤師のほか、非医療系ではロジスティシャン(建築、水・衛生管理、電気、通信、機械、車両、物資輸送などの専門家)、アドミニストレーター(財務・人事管理責任者)を募集しています。 毎月、派遣希望者を対象に海外派遣スタッフ募集説明会を開催しています。 次回は4月11日(金)18:30〜20:30、5月9日(金)18:30〜20:30に東京で、6月8日(土)13:30〜15:30に大阪で開催します。参加希望の方は、事前に参加申込みフォーム又はお電話にてお申込みください。海外派遣に関するお問い合わせはリクルート担当へ。TEL:03-5337-1499 / recruit@tokyo.msf.org ■国境なき医師団 メールマガジン MSFの活動状況や海外派遣スタッフ募集などの情報を、メールでお届けします。(月一回程度、テキスト形式またはHTML形式)購読は無料です。是非お申し込みください。お申し込みはこちらから。
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