現在位置:asahi.com>国際>国際支援の現場から> 記事 今ふたたびアフガニスタン支援を考える2008年04月15日 JEN@アフガニスタン <アフガニスタンと紛争>
なぜ、アフガニスタンでは約四半世紀もの間、紛争が続いてきたのでしょう。 その答えは、長い間、アフガニスタンが世界から「忘れ去られた国」だったからではないでしょうか。 四半世紀というと、日本で一般的に考えれば、人一人が生まれ、学校に通い、社会人となり成人として社会経験を積み始めるまでの長さです。1979年の旧ソ連軍の進攻以来、アフガニスタンでは紛争が繰り返されてきました。紛争が人びとに与えた心的ダメージは膨大です。 さらに、紛争が終結したといわれる現在でさえ、国内の多くの地域では、度重なる自爆テロやロケット砲による攻撃、誘拐、強盗などが続いています。多国籍軍とタリバン勢力の戦闘が今も続く地域もあります。このような環境の下、人びとが安心して暮らせると宣言できるところは、数えるほどしかありません。 にもかかわらず、いま再びアフガニスタンが「忘れ去られた国」になろうとしています。
<近隣国に暮らす人びと> JENは、アフガニスタン国内の治安悪化を理由に、2007年10月以降、活動の拠点を隣国パキスタンに移し、そこから事業の遠隔管理を始めました。首都イスラマバードでの生活を始めて5カ月が経ちます。そして思いがけず、この地で厳しい暮らしを営む多くのアフガニスタン人を目にすることになりました。 パキスタン国内でアフガニスタン人の多く住む地域は、1990年代に多くの難民キャンプが作られた北西辺境州やアフガニスタンとの国境沿いの自治区です。一方で、イスラマバードにもアフガニスタン難民の家族が多く生活しています。 イスラマバードは、区画された居住地区、整備された道路や公園などが整然と並ぶ、1963年に建設された計画都市です。その裏側にひっそりと立ち並ぶ、古びたテント。住人の多くがアフガニスタン人と言われています。商店街で知り合った店番の少年は、おじいさんの時代に戦火を逃れてアフガニスタンからイスラマバードにやってきたこと、しかし、祖国を訪れたことがないことを話してくれました。 ここには、戦火や干ばつを逃れてきたアフガニスタン人の二世三世が今も暮らしています。近隣国に逃れ、そこに住み続けることを選んだ人びと。彼らの多くが移住先の社会の中で正当な扱いを受けられない、厳しい日常を営んでいます。そのような人びとが祖国の土を踏むことができる日、それはいつのことでしょうか。
<そこに人びとの視点はあるのか?> 現在、各国政府が進めているアフガニスタン支援。税金で行われる支援である以上、それぞれの国益や外交戦略などの議論は不可欠です。しかしながら、欠かすことのできないもう一つの視点があります。それは、アフガニスタン国内に暮らす支援を受ける人びとの声です。 例えば、日本国内での近年のアフガニスタン支援を取り巻く議論は、政治的な意味合いを含む話題に集中し、実際に支援を受ける現地の人びとの声に耳を傾ける機会が欠けているように感じています。 以前、アフガニスタンは「忘れ去られた国」でした。紛争に翻弄されていた時も、人の命を脅かす大干ばつで深刻な被害を受けていた時も、世界はそこに暮らす人びとを「忘れ去って」いました。そして、いま再びアフガニスタンは「忘れ去られた国」になろうとしています。 アフガニスタンでは、私たちと同じ市井の人びとが日々の暮らしを営んでいます。JENはその日常に寄り添い、与えるのではなく支える支援を継続すべく努力をつづけてきました。治安の悪化や政治的議論に終始するのではなく、この国の支援を語る際には、ニュースにならない日々の喜びや苦しみを紡ぐ現地の人びとの視点を忘れないでほしいと切に願います。(カブール事務所 柴田哲子)
【メモ】 JENは2001年の緊急支援を皮切りに、アフガニスタン国内にて帰還民へのさまざまな再定住支援を行ってきました。現在は、2002年から継続的に活動を行っているパルワン州において、教育支援を行っています。 具体的には、同州内の3校の学校再建を通して、教育環境の整備を進めています。この事業では、村人自身で完成後の施設の管理ができるように、学校運営委員会を設立し、地元の行政やコミュニティの能力強化も行っています。 アフガニスタンでの事業や写真をもっと見たい!⇒JENアフガニスタン支援速報
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