2008年5月20日
水汲みを手伝う子ども達
JENが設置した井戸の水を家まで運ぶヘレンちゃん(右)重さは20kg
チャリティさんが水を汲む様子
ラニャ郡ロカ・ラウンド校に通うヘレンちゃん(右)
ロカ・ラウンド校の井戸を使うチャリティさん
汲んだ水をチャリティさんが運ぶ様子
「井戸が出来る前は、学生たちはみんな、学校から2km離れた池で汚れた水を飲んでいた。学校に井戸が出来たことで、子どもたちが以前のように頻繁に下痢をすることがなくなった」と、ジェンが井戸とトイレを設置したスーダン南部、ラニャ郡ロカ・ウェスト小学校のジェームス先生(33)は言います。
アフリカ東部に位置するスーダン共和国は、日本の約6.6倍もの国土を持つ、アフリカ最大の国です。スーダンでは、2005年までの約20年間、北部の政府軍と、南部を拠点とするスーダン人民解放軍(SPLA)との間で、激しい戦闘が繰り広げられていました。
紛争終結から3年あまりが経った今も、スーダン南部に住む人々はとても厳しい生活を強いられています。一部のごく限られた地域を除いては電気も上下水道もなく、舗装された道路もありません。ほとんどの生活物資を近隣諸国からの輸入に頼っているため、物価は日本よりも高いほどです。
今年は、横浜で5月末に第4回アフリカ開発会議(TICADIV)の開催が予定されています。また、北海道の洞爺湖では7月にG8サミットが開催されます。これらの会議では、アフリカ諸国における成長の加速化や、ミレニアム開発目標達成に向けた国際社会の取組み推進といった政策課題について、マクロな視点から協議がなされます。
では、各国首脳によるこうした政府レベルでの話し合いがされる中、現在、アフリカで実際に生活する人々は、どのような問題を抱え、何を思いながら生活しているのでしょうか。
ジェンは帰還民の再定住を支援するため、2007年4月より中央エクアトリア州のラニャ郡とテレケカ郡で、学校水衛生改善事業を実施しています。
たとえ紛争が終わっても、安全できれいな飲み水や、子どもを安心して通わせられる教育環境がなければ、戦渦を逃れていた人々は自分たちの家に戻ることはできません。ジェンは、企業や個人支援者の皆さま、そしてジャパン・プラットフォームや外務省の協力の下、2郡にある68校の小学校で衛生教育を実施し、また必要に応じて、井戸の掘削やトイレの建設も実施しています。
コミュニティの中心となる学校を対象に事業を展開することで、大きな波及効果をもたらすことが可能になります。
冒頭の井戸ができた学校の近くに住むチャリティさん(28)は「井戸ができてから、私が知っているだけでも、4家族が井戸の近くに戻ってきた」と教えてくれました。彼女自身、ウガンダにあるライノ難民キャンプから、昨年の3月に母親と3人の子どもと一緒に戻ってきた帰還民の1人です。井戸が設置される前は、毎日3Km離れた隣村の井戸まで、1日3回、ポリタンク4缶分の水(80リットル)を汲みに行っていたそうです。
そうした水衛生環境の改善が見られる一方で、住民の多くは苦しい経済状況の中で生活しています。ジェームス先生は、滞りがちな政府からの給与だけでは、同居する両親と5人の子どもを養うことができず、農業をしてなんとか日々の糧を得ています。
ロカ・ラウンド小学校に通うヘレンちゃん(13)は、お父さんが高齢で働くことができず、学校の授業料を払うのがとても大変であることを教えてくれました。「勉強して将来はお医者さんになりたいけど、いつまで学校に通えるか分からない」と言います。
それでも、自分たちの家に戻ってきた帰還民は、自らの力でコミュニティを復興させるために動き始めています。事業を始めた当初は、ジェンの職員に対してあれが足りない、これが欲しいという風に、要望を伝えるだけでした。
しかし、ジェンが「与える支援」ではなく「支える支援」を行う団体であり、復興の担う主役は住民自身であることを説明し実践するうちに、彼らの行動にも変化が現れています。ジェームス先生によると、ジェンが設立を支援し、維持管理トレーニングを行ったロカ・ウェスト校の施設管理委員会が、最近自分たちで住民から寄付を募り、故障した井戸を直したそうです。
アフリカでは、安全な水が近くにないために、自分の家に帰れなかったり引っ越しを強いられたり、日本では想像しにくい環境で暮らしている人々が大勢います。今年はTICADIVやG8サミットの開催に合わせ、日本でもアフリカ関連の様々なイベントや報道番組が企画されています。この機会に、アフリカの今についてまずは知ることから始めてみませんか。(JENジュバ事務所長 川勝健司)
【メモ】
JENスーダン事務所で働く現地スタッフの誰もが、「教育環境の改善がなければ、復興はありえない」と言います。彼ら自身が教育の機会を寸断され、祖国に帰還した現在でも希望する教育を受ける自由がないことが、実感として大きな障碍となっているからでしょう。それでも彼らは、JENで働くかたわら、それぞれの方法で勉強を続けています。
希望を持って帰還した祖国で、未来を選択する自由を得られるように。JENはスーダン南部の復興を支えていきます。
スーダンの事業についてもっと知る!⇒JENスーダン支援速報
【インフォメーション】
今回の記事を執筆した川勝健司(ジュバ事務所長)が6月に帰国。現地で今起こっていること、JENが進めていること、スーダンの人々が過ごす日々などについて、生の声を届けます。
加えて、昨年JENが自主制作したスーダンのドキュメンタリーフィルム(「大地に響く歌」製作:JEN、放映時間:20分)も上映します。皆様、ふるってご参加ください。
◆詳細
報告者: 川勝 健司(スーダン ジュバ事務所長)
場 所: JEN東京本部(JR、地下鉄 飯田橋駅徒歩4分)
日 時: 6月5日(木)
17時45分 受付開始
18時00分 上映開始、
18時30分 報告開始、
20時30分 終了(懇親会へ)
定 員: 25名 ※定員になりしだい締め切らせていただきます。
参加費: JEN&JSC会員無料、非会員500円
お問合せ・お申込みは、電話、E−mailで東京本部事務局(担当:濱坂)まで、氏名、ご所属、ご連絡先をお知らせください。
TEL:03・5225・9352
E−mail:info@jen−npo.org
詳しくは、JENホームページをご覧ください。