2009年1月7日
スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(原題)1/18上映予定
(c)2007 Max Ave Productions. Courtesy Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.
(c)Participant Media, LLC
上映協力:ソニー株式会社、株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントアブグレイブ刑務所での拷問
元囚人が描いた、米兵による拷問のやり方15歳のときにアフガニスタンで米兵に拘束されたオマー・カードル。数々の拷問や虐待を受け、フラッシュバックに悩まされているという。
グアンタナモ収容所5周年に収容所閉鎖を求めるパフォーマンス。ロンドン(2007年1月)
グアンタナモ収容所6周年に収容所閉鎖を求めるパフォーマンス。ロンドン(2007年1月)
■「脱ブッシュ」の試金石
2009年1月20日、バラク・オバマ氏が新しい合衆国大統領に就任する。
目下のところ金融危機対策が優先とされているが、「脱ブッシュ」の試金石として、「反テロ」戦争下での「テロ容疑者」の取り扱いにもぜひ注目してほしい。
ブッシュ政権は、アフガニスタン、イラク、キューバのグアンタナモなどで「テロとの戦い」の「容疑者」たちを無期限に閉じ込めてきた。被収容者の大半は「テロ」とは無関係と言われているが、米当局は彼らを「敵性戦闘員」と呼び、裁判を受ける権利を奪い、精神的・肉体的拷問を繰り返してきた。また米中央情報局(CIA)が中心となり、「容疑者」を米国外で拉致し秘密裏に収容所に移送するというプログラムを世界中で展開した。
そうした手法の一端が露呈したのが、2004年のイラクのアブグレイブ刑務所における囚人虐待の写真だった。裸のイラク人男性を積み上げた「人間ピラミッド」、囚人につけられた首輪のヒモを持つ女性兵士・・・・・・。吐き気を催すような写真は世界中から批判を浴び、加担した米兵らは軍事裁判で有罪判決を受けた。
■映画『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー』
『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』(2003)で知られるエロール・モリス監督の新作『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(原題)』(2008)は、リンディ・イングランドをはじめ加害者である米兵へのインタビューと、彼らが自ら撮った膨大な写真やビデオテープから、当時の報道だけでは分からなかった事件の深層に迫る。その独特のカメラ手法と兵士たちの証言によって、私たちはまるで「あの時間」「あの場所」にタイムトラベルし、その現場を覗き見しているような錯覚に陥る(同作品は、1月18日(日)にアムネスティ・フィルム・フェスティバルで上映予定)。
虐待事件を調べる調査官は、それが犯罪行為(拷問)だったのか、「スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(S.O.P:通常の取り扱い規定)」だったのかを次々と選り分けていく。「S.O.P」は、国際法や米国内法による追求をかわすために米政権トップが考えた出した奇策だが、それを真面目に審査していく過程は、滑稽でありながら背筋が凍る。囚人を「裸にして」「女性の下着を頭に被せて」「苦痛な姿勢を長時間とらせる」ことは「S.O.P」だと、政府のトップが決めたのだから。兵士らは「S.O.P」に忠実に従ったのだ。
■問われる就任後100日間
「反テロ」戦争におけるもう一つの負の象徴が、グアンタナモ収容所だ。アブグレイブ同様、ほとんどの囚人が拷問を受け、無期限に収容され、法の外に置かれ続けた。グアンタナモ収容所=無法地帯という批判は米国内や欧州で広がり、市民社会による抗議行動が繰り返された。
そのため、オバマ氏は大統領選の公約としてグアンタナモ収容所閉鎖を掲げていた。そして次期大統領として選ばれた直後の11月10日、自らの政策チームに収容所閉鎖の具体的検討を命じた。最近では08年12月下旬にロバート・ゲイツ国防長官が、グアンタナモ閉鎖に向けた計画を進展させるよう命令を出している。予想以上に素早い動きは、それだけ国内外からの圧力の結果であり、「脱ブッシュ」を世間に印象づける必要を感じ取ったからだろう。
今回、アムネスティは、オバマ次期大統領に向けて就任100日以内にやるべき「チェックリスト」を公表した。政府はグアンタナモ収容所を閉鎖するだけでなく、CIAが管理しているという世界各地の秘密収容所の実態を明らかにし、諜報当局に拉致され拘禁され続けている人びとの消息を公開し、解放する必要がある。S.O.Pなどという茶番は止め、国際人権法に則って拷問を禁止することを改めて確認しなくてはならない。何よりも、アフガニスタンで、イラクで、そしてグアンタナモで実行された拷問や虐待の全貌を明らかにすべきだ。
そうした包括的な行程表がオバマ新大統領から出てくるかどうか、ぜひ今後に注目してほしい。
アムネスティ・インターナショナル日本
国際キャンペーン担当:川上園子
■関連ニュース
2008年12月31日 「イスラエル/パレスチナ自治政府:人道支援活動家と監視員が直ちにガザ地区に入ることが不可欠」
★アムネスティが掲げる、オバマ新大統領就任100日のチェックリスト
★☆★ インフォメーション ★☆★
−今日、映画を観る自由があった−
アムネスティ・フィルム・フェスティバル2009 開催!
『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(原題)』の他、現在激しい戦闘が行われているパレスチナで、パレスチナ・イスラエル双方の子どもたちの交流とつかの間の友情を描いたドキュメンタリー『プロミス』、様々な出自、宗教、言語、文化を背景に持つミュージシャンによる多民族オーケストラの5年を見つめた『ヴィットリオ広場のオーケストラ』、日本国内の差別や社会的排除を問う作品など、2日にわたって全9作品を上映します。
「彼らがイタリア人あるいはローマ市民になること、 自らの出自を忘れることなくむしろその付加価値を音楽に捧げていることを どのように感じているのかを描きました」(『ヴィットリオ広場のオーケストラ』フェッレンテ監督)
『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(原題)』には、ノンフィクション作家の吉岡忍さんがシャープなメッセージを寄せてくださいました。
「人間は、簡単に狂う。軍隊は、人間が簡単に狂うことを見越して設計される暴力組織だ。」
◆日時:2009年1月17日(土)/18日(日)
開場・受付開始10時30分/開映11時
◆会場:ヤクルトホール 東京都港区東新橋1−1−19ヤクルト本社ビル
◆上映作品
2009年1月17日(土)
「免田栄 獄中の生」/「にくのひと」/「アンナへの手紙」/「刑法175条」/「プロミス」
2009年1月18日(日)
「関西公園 〜Public Blue」/「サルバドールの朝」/ 「スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(原題)」/「ヴィットリオ広場のオーケストラ」
■お得な前売りチケットのご購入は、タイトルに「チケット購入希望」、本文に(1)チケットの種別(A〜Fの別)、(2)種別ごとのチケット枚数、(3)住所・氏名・TELをご記入のうえEメールでfilm@amnesty.or.jpまで送信してください。(1月15日〆切)
★「アムネスティ・フィルム・フェスティバル2009」公式サイト