【ワシントン=小村田義之】米大統領選の民主党候補者指名を狙うオバマ上院議員が29日、師と仰ぐライト牧師への激しい怒りをあらわにし、「決別」宣言に踏み切った。白人や米国を敵視するような過激発言を繰り返す「身内」の振る舞いに、堪忍袋の緒が切れた形だ。
ライト牧師がまた過激発言をした前日の講演を受け、オバマ氏は遊説先のノースカロライナ州で緊急会見。「彼の発言に怒りを禁じ得ない。悲しく思う」と切り出した。20年来の付き合いというライト牧師について「私が昨日見た人物は、20年前に会った人物とは違っていた」と述べた。
オバマ氏は牧師の一連の発言に対し「分断をあおる」と批判してきたが、牧師は「彼は政治家として発言した」と述べ、本心ではないとの見方を示していた。これに対しオバマ氏は強く反発、「彼は私のことを分かっていない。私も彼のことを知らなかったのかもしれない」と語った。
また、米政府が黒人を抹殺するためエイズウイルス(HIV)を開発した、との陰謀説を牧師が語ったことについてオバマ氏は「こんな馬鹿げた主張をするに至っては弁解の余地はない。私を怒らせ、すべての米国人を怒らせた」と吐き捨てた。
オバマ氏は前日まで、牧師と距離を置く姿勢にとどめていたが、その後に発言全体を見たといい、「彼との関係は変わってしまった」と言い切った。人種の融和を唱えてきた自分の信念が理解されず、牧師への批判が政治的なポーズととられたことで、「もう、たくさんだ。私がこの選挙運動で挑戦してきたことへの侮辱だ」と語った。
牧師が黒人教会で過激な内容を説教する映像が3月に表面化した後、オバマ氏への不信感が次第に広がっており、思い切った対応をとらざるを得なかったようだ。