内戦再燃、市街地から人影消える レバノン2008年05月10日02時14分 【ベイルート=川上泰徳、カイロ=平田篤央】15年にわたる内戦が90年に終わったレバノンが、再び危機に直面している。親シリアのイスラム教シーア派野党ヒズボラと反シリアの与党連合の支持者の衝突は本格的な市街戦に発展、死者は10人を超えた。首都の路上から人影が消え、国際空港は閉鎖された。
8日夕の戦闘開始から一夜明けた9日も、自動小銃の連射音や対戦車ロケット弾の爆発音が市中心部ハムラ通りでも響いた。すべての商店がシャッターを閉め、歩く人はいない。レバノン国軍の装甲車が巡回。わきの通りでカラシニコフ銃を持った野党系の民兵が道路を封鎖している様子が見えた。 市民の間には、15万人の犠牲者を出したとされる内戦の再燃への恐れが広がっている。スーパーは食料を買いだめする住民で混雑し、パンは昼前に売り切れた。 ヒズボラは9日午後に首都の大半を制圧した模様だ。与党連合を率いる故ハリリ首相の息子サード・ハリリ氏のテレビ局や新聞社を占拠。ハムラ通りから1キロ南のクレイトン地区にあるハリリ氏の自宅を包囲している。 戦闘の背景には、与野党の根深い相互不信がある。 05年に反シリアのハリリ元首相が暗殺され、シリアの関与が疑われた。ヒズボラなど野党は、反シリア政権の打倒を目指し昨年1月に数千人規模のデモを行い、その後も小規模な武力衝突や与党政治家の暗殺が散発的に続いた。与野党の対立で、昨年11月から大統領不在が続いている。 国連のラーセン中東特使は8日、「内戦終結以降、見られなかった規模だ」と危機感を表明、「地域全体に深刻な悪影響をもたらしかねない」と警告した。レバノン国内の対立には米国対イラン、シリアの代理戦争の側面もあるからだ。 米国のカリルザード国連大使は「レバノンは再びがけっぷちだ」と述べ、「国家内国家をつくっている」ヒズボラと、支援するシリアとイランを非難した。06年夏にヒズボラと約1カ月にわたる戦闘を繰り広げたイスラエルのペレス大統領は「中東全体を握ろうとするイランがあおっている」と主張した。 これに対しイラン外務省報道官は米国とイスラエルを「混乱の主因」と名指しした。シリアのアサド大統領は「純粋に内政問題」だと述べ、レバノンに介入しているとの批判に反論した。 エジプトとサウジアラビアは緊急のアラブ外相会議を一両日中にカイロで開く方向で調整に入った。ただ、アラブ諸国の間でも親米の両国とシリアの溝は深く、問題解決につながるかは不透明だ。サウジ、アラブ首長国連邦、クウェートなど親米国はレバノンから自国民の避難を始めた。 PR情報この記事の関連情報国際
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