【カイロ=川上泰徳】今回のエジプトの政変は、同国で初めて民主的な選挙で選ばれた初の文民大統領を、軍が実力で排除した。最高憲法裁判所長官を暫定大統領と決めるなど、「文民統治」を演出しているが、民意という正当性は破棄され、軍の一存で全てが決まる政治の始まりである。2011年2月のエジプト革命で始まった民主化の歩みは大きく後退した。
すでにムルシ大統領や出身組織のムスリム同胞団の幹部が次々と当局に拘束されている。さらにムルシ氏支持派デモのテレビの実況中継が警察に禁止されるなど、言論への権力の介入も始まった。軍支配のもとで、市民生活や言論を取り締まる強権体制への逆戻りが始まっている。
ムルシ氏は昨年8月、革命後全権を握ってきた軍最高評議会議長と参謀総長を大統領令で更迭した。国民は選挙を通じ、民意に支えられた大統領の権限の強大さに目を見張った。
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朝日新聞国際報道部