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【ソウル=中野晃】戦時中に朝鮮半島から労働力を動員した日本企業に対し、韓国の裁判所が初めて損害賠償を命じた。被害者団体は新たな集団訴訟を検討し、韓国政府への働きかけも強める方針だ。
「今日まで長かった。支援してくれた皆さんに感謝したい」。10日のソウル高裁での勝訴判決後、原告の呂運沢(ヨウンテク)さん(90)=ソウル在住=は涙ぐんだ。旧日本製鉄の大阪製鉄所で終戦まで約2年間、監視下での長時間労働を強いられた。賃金のほとんどは強制的に「貯金」させられ、いまだに支払われていない。
1997年、賠償を求めて大阪地裁に提訴したが、6年後に敗訴が確定。韓国でも裁判を起こしたが、一審、二審とも敗れた。「やっと勝てた」。だが、大阪での裁判からともに闘ってきた原告の申千洙(シンチョンス)さん(86)は闘病中で、法廷で吉報を聞けなかった。
代理人の張完翼(チャンワンイク)弁護士は「一日でも早く賠償に応じるよう、被害者を結集して企業側や日本政府と交渉していきたい」と話した。
強制動員の実態を調査する韓国政府の委員会は昨年、「日本の強制動員企業」299社のリストを公表した。旧財閥系のほか、ゼネコン、電機などの大企業が含まれ、韓国で今も事業をする会社も多い。今回の判決を受け、このリストをもとに元徴用工や遺族らが賠償を求める動きが活発になる可能性もある。
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朝日新聞国際報道部