【ユジノサハリンスク=西村大輔】ロシアのプーチン大統領が16日、極東サハリン州を訪れた。4月の安倍晋三首相との日ロ首脳会談以降初の極東視察で、プーチン氏は北方領土のインフラ整備を進める国家プロジェクト「クリル社会経済発展計画」を積極的に進めるよう指示。しかし、同州が事実上管轄している北方領土には訪問せず、日本への配慮もにじませた。
州都ユジノサハリンスクで開かれた会議でプーチン氏は、北方領土で港湾や道路、病院など公共事業を進める発展計画について「リズミカルに実行してほしい」と発言。各事業を期限内に完成させるよう命じた。また、2015年までの発展計画の延長も検討するよう提案した。ホロシャビン州知事は25年までの延長を要請し、同州やカムチャツカ地方と北方領土を結ぶ貨客船が老朽化していることから新たに4隻を建造するための支援を求めた。
7日、北方領土・色丹島の穴澗(あなま)村のセディフ村長は、ビザなし交流で同島を訪れた日本の訪問団に対し、「15日にプーチン大統領が南クリル(北方領土)に来る」と発言。しかし、ペスコフ大統領報道官は翌日、プーチン氏のサハリン訪問計画を明かし、北方領土を訪問する予定はないと明言した。報道官が大統領の視察計画を早い段階で明かし、北方領土訪問という外交問題に触れる日程に言及するのは異例だ。大統領の了解を得ずに発言できる内容ではなく、対日関係に配慮するプーチン氏の姿勢が読み取れた。
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朝日新聞国際報道部