【ローマ=前川浩之】イタリアのベルルスコーニ元首相(76)が所有する企業・メディアセットの巨額税金詐欺事件で、イタリア最高裁は1日、禁錮4年とした下級審判決を支持し有罪とする判決を出した。公職禁止5年については期間を再検討するようミラノ高裁に審理を差し戻した。
数々のスキャンダルを抱える元首相の有罪確定は初。刑の執行は10月とみられるが、恩赦法で刑期は1年に短縮される。高齢のため収監も免れ、社会奉仕活動か自宅で監視下に置かれる可能性が高い。だが、政治活動が制限されるのは確実で、政治的影響力の低下は避けられない。
判決理由は90日以内に示され、すぐには明らかにならない。元首相側は「経営に携わっていない」として下級審の判断や法的手続きに不備があると50件の抗告を申し立てた。最高裁はこうした主張は認めなかったが、政界に影響が大きい公職禁止期間については見直しを求めたとみられる。
昨年10月のミラノ地裁判決は、米映画をテレビ放映する権利の購入費を虚偽申告し730万ユーロ(約9億5千万円)の税金を免れたと認めた。元首相が詐欺の枠組みをつくったとも判断。今年5月の高裁判決は一審判決を支持し、最高裁も事実認定は見直さなかった。
元首相率いる中道右派「自由の国民」は第1党中道左派の民主党と連立を組む。連立与党の代表者の有罪が確定しても、政権への影響は限定的とみられる。
ナポリターノ大統領は声明で「司法制度の尊重」を訴え、各党に「平静と団結」を呼びかけた。民主党のレッタ首相は「イタリアの利益が優先されなければならない」と政権維持を強調。元首相は判決後のビデオメッセージで「(私は)偏った司法の犠牲者だ」と訴え、「(連立によって)我々に多数を与え、司法制度を手始めに改革をしなければならない」と述べた。
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朝日新聞国際報道部