2009年8月19日21時40分
自宅書斎でインタビューに応じるダニエル・オキモト・スタンフォード大名誉教授=カリフォルニア州スタンフォード、加藤写す
19日に着任した米国のルース米駐日大使の友人で、対日政策の助言をしているダニエル・オキモト・スタンフォード大名誉教授に、当面の日米安全保障関係について聞いた。(聞き手=編集委員・加藤洋一)
――経済危機が米国の国防政策に与える影響は。
経済危機の影響で、ポスト・ブレトンウッズ体制は著しく傷ついた。世界規模での金融機関の弱体化と混乱は今後さらに数年間続くだろう。
米国の強さは、ドルを基軸通貨としたポスト・ブレトンウッズ体制を支配していたことにある。今回の経済危機ではこの基盤が揺らいでしまった。
世界規模の不況はおそらくすでに底を打った。しかし米国の消費は依然として低迷しているし、企業の投資も削減が続いている。米国経済の回復は「V字形」とはならず、「のこぎりの歯」形で推移するだろう。
国防予算は刈り込まれることになる。08会計年度の当初計上額で約5500億ドルだった。補正やイラク、アフガン戦争の経費を含めれば、1兆ドルの巨額にのぼる。
オバマ政権はすでに、ステルス戦闘機F22の生産打ち切りを宣言するなど、予算削減で成果を上げているが、さらにすすめる必要がある。補正などを含めて08年度で国内総生産(GDP)の約7%を占める予算規模を、約5%まで減らす必要がある。
それによって生まれる予算の余剰を、高速鉄道など建設的なインフラ整備やクリーンテクノロジー、代替エネルギーの開発などに回すことができれば、米国経済は米国の繁栄だけでなく、世界全体の安定につながるような成長軌道に再び戻ることができるだろう。
――対応すべき脅威とは。
世界経済が成長しないまま、貧富の差が今のように拡大すると世界は不安定化する。ソマリアは「失敗国家」の典型的な例だ。無政府状態でテロリストが生まれる温床となっている。アフリカ大陸やユーラシア大陸を絶望的な貧困に陥れてはならない。それは恐るべき不安定を生み出す処方箋(せん)だからだ。