2009年8月19日21時40分
自宅書斎でインタビューに応じるダニエル・オキモト・スタンフォード大名誉教授=カリフォルニア州スタンフォード、加藤写す
――北朝鮮の核問題と6者協議への取り組みは。
米国は朝鮮半島の核拡散問題にクリントン政権初期から取り組んできた。しかし、06年と09年には北朝鮮が核実験に成功するという後退を経験した。北朝鮮はさらにミサイル能力の向上にも成功している。核関連技術をシリアやミャンマー、さらにおそらくイランとイラクにも売り渡したと見られる。
核の魔神が瓶から出てしまった。核不拡散条約(NPT)の加盟国である五つの核保有国に加えて、イスラエル、インド、パキスタンが核兵器を手に入れ、今や北朝鮮までが核保有国になってしまった。イランもその方向に進んでいる。シリアもいずれ興味を持つだろう。核不拡散体制は崩壊しつつあると言える。
オバマ政権はさらなる拡散をなんとか防ごうとしているが、問題は北朝鮮に核を放棄させることができるかだ。私は無理だと思う。北朝鮮にしてみれば、核兵器が唯一、米国を抑止できる手段であり、力の象徴だからだ。実際に戦争になれば、中国からの支援がなければ、北朝鮮のエネルギーはすぐに枯渇するので、核兵器の力に依存せざるをえない。たとえ米国が、安全を保障したり、経済援助を実施したりしても核兵器は手放さないと思う。
ではどうするか。まず米国が、拡大抑止(「核の傘」)の信頼性維持に努めることだ。
万が一、北朝鮮が韓国や日本を攻撃したら、米国は必ず北朝鮮に報復しなければならない。そうしないと信頼性は著しく傷ついてしまう。さらに、北朝鮮が先制核攻撃をしかけてくる可能性に備えて、日本が防衛のための何らかのメカニズムを持つことは必要不可欠だ。それがミサイル防衛だ。拡大抑止の信頼を支える重要な要素だと思う。
核技術や放射性物質がもし拡散したら、北朝鮮の核の脅威は周辺諸国にとどまらなくなる。拡散には拡大抑止も無力だ。阻止するのは極めて難しい。