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尖閣諸島沖で、中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突する事件が起きてから、7日で1年。「●晋漁5179(●は門がまえに虫)」号の元船長、セン其雄氏(センは憺のつくり=42)の自宅を訪れると、多数の私服警官が警戒し、「英雄」として帰国した元船長は、知人と会うことや買い物も自由に出来ない状態に置かれていた。
福建省晋江の漁村。5日夜、セン氏の家の前に着いた瞬間、記者のフルネームを呼ばれ、呼び止められた。私服警官の男3人からだった。まだ一言も会話を交わしていないのに、会社名、上海から来たこと、飛行機が少し遅れたことまで知っていた。
「ここでの取材は認められない。今すぐ帰れ」。記者証や携帯電話番号などを調べた後、そう要求した。セン氏宅の周りをよく見ると、マージャンをしている住民に治安関係者が何人も交ざり、仲間と連絡を取り合っている。事件から1年を前に警戒を強めており、記者は2日間、複数の私服警官にずっとあとをつけられ、取材を遮られた。尖閣諸島沖での衝突は「敏感」な事件と位置づけられており、セン氏が事故後の経緯などの詳細を話すのを警戒しているとみられる。
私服警官は「この家は閉まっている。中には誰もいない」と言う。扉にもすだれがかぶせられ、表から見ると真っ暗だ。だが、目撃者によると4日午前、セン氏は自宅にいた。そこで裏口に回ると、セン氏の母親(62)の部屋と居間には明かりがともっていた。私服警官はうそをついていた。
セン氏の家に電話をかけると、母親が出た。セン氏は電話に出られないという。昨年9月の帰国時には地元に「英雄」の横断幕が掲げられたが、「今は自由に外出も出来ない」。普段から外出するには派出所の許可が必要で、セン氏が買い物をしたいと言うと「妻に頼め」と言われるという。