【フォートフッド(米テキサス州)=田中光】5日午後1時半(日本時間6日午前4時半)ごろ、米テキサス州中部のフォートフッド米陸軍基地で銃乱射事件があり、兵士ら13人が撃たれて死亡、30人が負傷した。当局は同基地で精神科医を務めていた陸軍少佐ニダル・マリク・ハサン容疑者(39)を拘束した。
事件後、同基地で記者会見したロバート・コーン陸軍中将によると、ハサン容疑者は銃撃戦で数発の銃弾を受けたが、容体は安定している。犯行には拳銃2丁が使われ、うち1丁は半自動式だった。事件当時、学位を取得した兵士の卒業式が現場近くで進行中で、兵士や関係者ら600人ほどが参加していた。
同基地はイラクやアフガニスタン派兵の拠点で、銃乱射があったのは派兵前の兵士への説明会や健康診断などが行われる施設。米CNNによると、ハサン容疑者はヨルダン系米国人で独身。精神科軍医として、これまでに複数の陸軍医療センターで兵士のストレス対策などの仕事をした経験があるという。
複数の米メディアはハサン容疑者の親類の話として、同容疑者は米国生まれのイスラム教徒で「同僚からの差別で悩んでいた」と報じた。近くイラクに派遣される予定で、そのことを気に病み、除隊も望んでいたという。AP通信は、ハサン容疑者がインターネットに自爆テロに絡む書き込みをして、半年前から米捜査当局の調査対象になっていたとも伝えている。
イラクとアフガニスタンで「二つの戦争」を抱える米オバマ政権は、アフガンへの米軍増派を検討中だが、泥沼化する戦争で米兵が疲弊していることを今回の事件は浮き彫りにした形で、増派に対する批判が高まるのは必至。オバマ大統領は難しい決断を迫られることになった。
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【ワシントン=望月洋嗣】オバマ米大統領は5日、フォートフッド陸軍基地での銃乱射事件について「海外の戦場で勇敢な米国人を失うことも悲劇なのに、米本土の陸軍基地内で兵士が銃火を浴びねばならなかったことにぞっとしている」と語った。ゲーツ国防長官らと協議し、事件の解明に努める意向を表明。「軍最高司令官として、兵士たちが適切な待遇を受け、帰国中は安全が確保されるよう、責任を果たしたい」と述べ、再発防止に取り組む考えを強調した。