【ジュネーブ=前川浩之】内戦のシリアで人道援助の中核を担う赤十字国際委員会(ICRC、本部ジュネーブ)のマウラー総裁が8日、記者会見し「援助の空白地帯があり、状況の悪化に対応しきれていない」と述べた。北部の激戦地アレッポには近づけず、シリアの人道状況は確実に悪化しているという。
ICRCは、アサド政権側だけでなく武装勢力とも交渉し、戦闘の最前線に援助を届ける「中立」がモットー。分け隔てなくけが人を治療したり食糧を届けたりできる国際援助の「最後のとりで」として知られる。マウラー総裁は、援助に伴う政権側の手続きの複雑さなどの「官僚的な」問題や、現場に行けない治安上の問題に直面していると指摘。「どれぐらいの人にどんな援助が必要か分析ができない」といい、援助の難しさを「計器のない飛行機を(状況が分からないまま)飛ばしている」と表現した。
シリアは、国連推定で100万人超が国内避難民になり、250万人に援助が必要とされる。だが内戦の悪化で援助が届きにくいとの懸念が広がっていた。