インターネットで横行する音楽や映画などの「海賊版」をめぐる議論が、欧州で過熱している。英国が18日、著作権法違反の取り締まり強化の方針を表明するなど強硬な法規制案が続々登場。これに対し「表現の自由を脅かす」との批判が広がる。
英国の方針は、エリザベス女王が施政方針を代読する「女王演説」で示された。デジタル関連法案を導入するとの内容で、違反者には回線切断も辞さない取り締まり策が柱の一つになる。詳細は近く明らかになるが、下敷きになりそうなのがフランスの「3ストライク法」だ。
インターネット接続業者を通じて確認された違法ダウンロードに対し、政府機関が1回目は電子メール、2回目は手紙で警告。それでもやめないと、接続業者に回線を切らせ、最長で約1年間インターネット契約を認めない内容だ。5月にいったん国会を通過したが、社会党など野党議員が「表現の自由、通信の自由に反する」と憲法評議会に訴え、違憲の判断を得た。しかし政権は回線切断の判断を裁判所に委ねる修正をして、9月に再び国会を通過させた。社会党のメディア問題担当、ブロシュ下院議員は「インターネット利用者への脅しだ」と怒りが収まらない。
各国の強硬姿勢の背景には、窮地に陥った業界の働きかけがある。国際レコード産業連盟の推計では、欧米など16カ国での08年の音楽ダウンロードは95%が違法。EMIミュージックのレオン・セティ最高経営責任者は「(規制は)欧州における非常に重要な第一歩だ」と語る。
対抗する動きも広がっている。6月に欧州議会で議席を得たスウェーデンのミニ政党「海賊党」は、インターネットでの自由を強調し、著作権の期間の大幅な短縮などを掲げる。若い層の支持が厚く、党員の半数は30歳以下だ。