【ウィーン=喜田尚】国際原子力機関(IAEA)のサーバーコンピューターが不正侵入を受け、IAEAの研究者や日本を含む各国の核関係研究者のメールアドレスが盗み出され、インターネット上のハッカーサイトに投稿された。投稿者は、事実上の核保有国であるイスラエルの核開発を調査するよう訴えている。
IAEAの天野之弥事務局長は29日開かれた定例理事会中の記者会見で、数カ月前にサーバーが何者かに不正侵入されたと認めた。天野事務局長は「まだすべてが解明されたわけではない」とする一方、「機密情報は盗まれていないと確信している」と話した。事件発覚後、このサーバーは閉鎖された。IAEAは加盟各国の核関連施設を査察し、その情報を多数保持している。
開会中の理事会では、イランの核開発疑惑が焦点。国連安全保障理事会の決議は、核兵器開発につながるとしてイランにウランの濃縮活動の停止を求めているが、イラン側は拒否。IAEAは現在、核兵器用の高性能爆薬の実験が行われた疑惑があるイランの軍事施設への立ち入り調査を求めている。
一方で、そのイランの核保有を防ぐため単独攻撃も辞さない姿勢のイスラエルは、事実上の核保有国。核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器保有を否定も肯定もしない同国が不問とされるのは不公平だとするアラブ諸国の主導で、過去にはそのNPT加盟を求める決議がIAEAの年次総会で採択されたこともある。