【ニューヨーク=春日芳晃】シリア問題を担当するブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表は29日、アサド政権と反体制派に「拘束力のある停戦合意」を促し、合意後は停戦を監視する「大規模かつ強固な国連平和維持活動(PKO)の部隊」を派遣する決議案を採択するよう、国連安全保障理事会に要請した。複数の理事国外交官が明らかにした。
安保理は今年4月に採択した決議に基づき、停戦監視を目的とする300人規模のPKOをシリアに展開させたが、通常のPKOが派遣の前提とする紛争当事者間の停戦合意はなく、完全非武装だったため、戦況の悪化に伴い約2カ月で活動中止に追い込まれた。ブラヒミ氏の今回の提案は、その反省を踏まえたものと言える。
ブラヒミ氏はシリアの現状を説明するため、この日開かれた安保理の非公開会合に出席していた。ブラヒミ氏はシリア内戦は全土に拡大したとし、来年の早い時点で周辺国への難民が70万人、国内避難民も200万人に達するという見通しを語ったという。
その上で、シリアの将来は「和平へ向けた新しい政治プロセスが始まるか、暴力や略奪がはびこる破綻(はたん)国家になるか、そのどちらかしかない」と指摘。「新しい政治プロセス」として、アサド政権と反体制派の双方が参加する中立的な移行政府を樹立して、政権移行を目指すとした今年6月の関係国外相級会合の共同声明の提案が最適だと説明したという。