中国外務省の香港出先機関トップの呂新華特派員が、香港駐在の米総領事が香港政府行政長官選挙と区議会選挙に絡む発言をしたことに対し、「内政干渉だ」と強く批判した。中国の民主化にも影響を及ぼす香港の政治状況を巡り、中国政府が米国の動きを牽制(けんせい)した形だ。
香港紙・明報などによると呂特派員は16日、同紙や中国系の文匯報など4紙の記者を呼び、手元の原稿を見ながら約30分にわたってスティーブン・ヤング米総領事の発言を批判。「中国外務省は外交上の重大な過ちを犯した者を、歓迎すべきでない人物と見なす権利がある」などと述べた。
ヤング総領事は6日、香港メディアとの懇談で、来年3月の行政長官選挙について「競争のある選挙を見たい」と述べたほか、11月の区議会選挙で多数の有権者が居住地を偽って選挙人登録をした事件について「積極的に捜査することを望む」などと発言した。
呂特派員の批判に対し、米総領事館のスポークスマンは「外交上の法と慣習を守っており、(米国総領事館の)外交官や職員の行為が不当とする批判は受け入れられない」としている。
ヤング総領事は昨年3月に就任。これまでにも香港の民主化や人権、言論の自由を守るべきだとの発言をしてきた。
香港政府は、最終的な直接選挙の実現を定める「香港基本法」に従い、中国政府の強い指導と影響の下で緩やかな選挙制度改革を進めている。しかし、その内容と速度には民主派勢力の反発が根強く、呂特派員の批判は、米国がそうした対立をあおっているとの中国側のいらだちを示している。(広州=林望)