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【ワールドウオッチ】
 
北京ニューウエーブ

写真1 大きすぎて会場に入らなかった毛沢東の「右手」=写真はいずれも加藤写す
写真1:大きすぎて会場に入らなかった毛沢東の「右手」=写真はいずれも加藤写す
写真2 赤ペンキのスローガンもそのまま残っている
写真2:赤ペンキのスローガンもそのまま残っている
写真3 会場となっている赤煉瓦づくりの建物「798工場」
写真3:会場となっている赤煉瓦づくりの建物「798工場」
写真4 毛沢東時代の古い写真が並ぶ「798フォトギャラリー」
写真4:毛沢東時代の古い写真が並ぶ「798フォトギャラリー」

加藤 千洋(編集委員)

 この秋の北京アートシーンで見落とせないのは、都心から西北へ車で30分ほどの郊外、朝陽区内の国営工場跡に誕生した「大山子芸術村」だろう。この春にオープンするはずだったが、例のSARSの影響で本格的な活動スケジュールは半年ほどずれ、今さまざまな展覧会、イベントが開かれている。

 大がかりな催しは中国とドイツのモダンアーティスト約50人による「左手と右手」展だろう。両国とも社会主義時代を経験しており、芸術表現、とくに現代芸術の表現にはさまざまな制限が加えられてきた(もっとも中国は今でもれっきとした社会主義国だが)。「右手と左手」のタイトルには、そうした寓意があるようだ。

 ところでの写真1の「右手」は誰あろう、あの「偉大な中国の舵取り」とされた毛沢東のもの。あまりに大きすぎて、会場内に運び込むことができなかったらしい。隋建国の作品だが、こういう「中途半端な展示」もなかなか愉快ではなか。

 かつて生産現場は製造ラインが取り払われ、10数メートルもある高い天井が大きな空間を生み出している。北側に大きな窓ガラスが切ってあり、採光も十分だ。壁には文化大革命中に戦闘的な労動者たちが赤ペンキで書いたスローガンがそのまま「展示作品」のように保存されている。下に並ぶのは布で包まれた飛行機で、女性作家の尹秀珍の作品(写真2)。

 さて外から見たらどうだろう。ご覧の通りだが、赤煉瓦づくりの建物に大胆かつ巨大な看板がひときわ目を引く(写真3)。建物そのものは1950年代初め、建国間もない新中国の国づくりを支援しようと、社会主義陣営の中心だったソ連や東ドイツなどの友好国が協力してつくったものだ。設計者は東ドイツの建築家だそうだ。

 完成した工場は「798工場」と名付けられ、ラジオや部品の真空管、精密機械などを生産していた。取り壊されずに残る背の高い煙突が、北京でも指折りの設備を誇った基幹工場であった往時の面影をしのばせる。しかし1980年代以降の改革開放の時代になって、設備が老朽化し、新しい製品を生み出せないまま巨大工場はいつの間にか無用の長物となってしまった。多数の労動者も自宅待機、解雇されたという。

 生産活動がストップし、空き家状態になったのに目を付けた芸術家らが、広大な施設の一部を借り受け、展覧スペースやアトリエ、写真スタジオ、美術本ショップ、カフェ、レストランなどに模様替えした。いわば使われなくなった倉庫跡を芸術村に再生したニューヨークの「ソーホー」の北京版である。

 活動の仕掛け人の一人、写真家の徐勇は「798フォトギャラリー」をつくった。そこでは1950、60年代の「社会主義建設に燃えた時代」の写真展が開かれていた(写真4)。

 作者の王世龍は主に河南省で活躍したベテラン写真家。毛沢東が視察した河南省の人民公社の農民たちの生産や生活風景、それに50年代末に呼びかけられた「大躍進運動」の中での人民たちの姿などが活写されたモノクロ写真は「ほんの少し前の社会主義中国」の実像だ。見ていて、なぜか無性になつかしい感じがした。

 徐勇はこの場所を拠点に古い写真の保存や販売なども手がけている。

 「大山子芸術村」ではこの1年でギャラリーなどの施設がすでに3、40オープンしている。カフェなどのつくりもなかなか凝っている。まだ観衆が押し掛けるといった風ではなかったが、私が訪ねるときに都心で拾ったタクシーの運転手が「ああ、あの798工場ね」とすぐにわかったので、どうやら北京の新名所になる可能性はある、と感じた。

(03/10/10 11:44)









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