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【ワールドウオッチ】
 
新大使はただの伊達男ではない

次期駐日中国大使に決まった王毅外務次官=AP
次期駐日中国大使に決まった王毅外務次官=AP

藤原秀人(編集委員兼論説委員)

 「Shall we shake hands?」(握手をしましょうか)

 中国外務省高官の英語が北京の釣魚台国賓館のロビーに響き、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の各国代表が手を重ね合った。去年の8月末のことだ。

 6者協議は北東アジアの平和と安定に資する重要な枠組みだが、日本のだれもが関心を持っているわけではない。ところが、握手の場面が職場のテレビのニュースで流れたとき、「あのハンサムな人はだれ?」という女性の声が上がった。日本の時代劇に出てきそうな二枚目は王毅(ワン・イー)という名前の次官だ。

 この王氏が9月に新しい駐日中国大使として東京に着任する。

今年10月でまだ52歳という若い大使の横顔を紹介すると……。

 北京出身。北京第二外語学院で日本語を学び、82年に外務省に入省。日本課長、日本大使館参事官、アジア局長、次官補などを経て01年に次官に昇任。アジア局長時代にワシントンのジョージタウン大学で半年間という当時しては異例の研修を受けた。ここまで書いただけで、かなりのエリートであることが分かってもらえるだろう。

 それに加えて、何しろ若い。中国政府は高級官僚の若返りを進めているが、それにしても若い。現在の武大偉大使より7歳年下で、年功序列の日本の役人と比べると、その若さはさらに際だっている。竹内行夫外務次官は61歳、阿南惟茂・中国大使は63歳だ。王氏の年齢だと、日本の外務省では局長と課長の間に位置する局審議官クラスだ。

 若いだけでなく、スマートな体つきから分かるように体も鍛えている。様々なスポーツに関心があるようだが、自らはテニスに熱中している。日本在勤中は、日本の外務官僚だけでなく米国やソ連の大使館員ともテニスを通じて人脈を広げた。ウィンブルドンで活躍した伊達公子さんも友人のひとりだ。

 エリートで、スマートで、テニスがうまくて、というと恵まれすぎて、少々やっかんでしまいそうだ。だが、王氏は決してヤワな伊達男ではない。

 注意深い読者はすでに気づいたかもしれないが、王氏が外務省に入ったのは28歳と遅い。中国の時代の荒波にもまれたためだ。

 王氏が高級中学(日本の高校に相当)に在籍していたのは、文化大革命の真っただ中のことだった。毛沢東主席の「青年は農村に行こう」という下放政策に従い、王氏は黒竜江省の農村に向かった。都会育ちの王氏にとって、そこは想像を絶する世界だった。冬は氷点下30−40度にも凍えるところで、王氏は少年から青年に至る6年間を暮らした。

 「アルミの弁当箱に安い焼酎を並々と入れて飲み、暖をとったものです」。こう聞いたことがある。とはいっても、うらみつらみを言うわけでもなく、「自分を鍛えてくれた得難い時期だった」という。

 そんな体験をした王氏の性格を一言で言うならば、名前の通り「毅然」である。

日本ではやたらと、「日本政府は毅然として中国に交渉すべきだ」などというが、本来「毅然」とは、しっかりした意志に基づき事に当たることだろう。王氏に接した人がみな口にするのが「原則を譲らない」という印象だ。だから、日中交渉のときにはぶつかることも少なくない。手強い日本大使になるのは間違いないだろう。

とはいえ、中国政府が有力な外相候補である王氏を起用するのは、対日関係にかける意欲の表れだ。日本にとってもチャンスだと思いながら、王氏を迎えたい。

(04/07/29 11:24)


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