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秘境「地下川」との共生 フィリピン・パラワン島

2012年2月6日

    写真幻想的な光景を売り物に観光開発が進む地下川=パラワン島サバン、四倉撮影 ※写真をクリックすると拡大します

     手こぎのボートは滑るように暗闇の中に吸い込まれていく。手つかずの自然が残り、フィリピンの最後の秘境とも呼ばれるパラワン島にある「地下川国立公園」。鍾乳洞の中を長さ8.2キロと世界最大級の地下河川が海へと流れ、1999年に世界遺産に登録された。

     幅3メートルほどの川を進んでいくと、「カテドラル(大聖堂)」と名付けられた広間のような場所に出た。彫像や祭壇のように見える乳白色の鍾乳石の数々がライトの先に浮かび上がる。気の遠くなるような時間をかけて形作られた。

     動物の宝庫でもある。小さなコウモリがびっしりと、片足だけで天井からぶら下がっている。推定4万1千匹。午後6時半ごろになると、エサとなる虫を求めて洞窟の外へ飛び出していく。そのコウモリを狙うヘビが鍾乳石の上で機会をうかがう。川には淡水、海水の魚たちが入り交じってすむ。洞窟の入り口には体長1メートルのオオトカゲもいた。

     フィリピン政府はいま、地下川を中心とした同島の観光開発に力を入れる。スイスの財団がインターネットで投票を集める「新・世界七不思議」の選考には、アキノ大統領が国民に投票を呼びかけ、対象地に選ばれた。昨年、地下川を訪れた観光客は約23万6千人と10年前の10倍以上に。周辺の森で狩猟と焼き畑農業に生きてきた先住民タグマンヌア族も観光から収入を得るようになった。

     だが、部族長のルドルフォ・ロドリゴさん(66)は「観光業者に土地を売ってしまう者も出てきた。ここは自然と共生してきた我々の土地ではなくなってしまうかも」と心配する。(四倉幹木)

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