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Kポップ、南米を魅了 韓国 アジアンパワー(4)

2012年4月2日

    写真「少女時代」をまねて踊る「ジェニス」のメンバー=ビトリア、平山亜理撮影 ※写真をクリックすると拡大します 写真JYJのリマ公演で熱狂的な声援を送るペルーのファン=C−JeSエンターテインメント提供 ※写真をクリックすると拡大します 図   ※写真をクリックすると拡大します

     ブラジル南東部エスピリトサント州の州都ビトリア。日曜の午後、ビルの一室に集まってきた8人の女性たちが、乗りのいいKポップをバックに踊りの練習を始めた。

     曲はすべて韓国の人気女性グループ「少女時代」のもの。「少女時代」へのあこがれが高じ、そっくりに演じるようになったカバーグループの一つだ。

     結成は2年前。中心になったのは、大学生のグラジエリ・フィンキさん(25)だ。もともと、日本のアニメや漫画のキャラクターをまねするコスプレが好きで、その延長でたまたま知った「少女時代」の衣装をまねるつもりだった。だが、映像を見ているうちにその躍動的で華麗な踊りに魅せられた。

     メンバーを募って「ジェニス」というグループを結成。毎週日曜に4時間の練習を続けている。フィンキさんの夫のアウグストさんは、本物のビデオを見てメンバーごとの振り付けをノートに書き留め、それぞれに指導する係だ。

     踊りをビデオに撮り、「作品」としてユーチューブに載せると、すぐに他のKポップファンから「本物はこういう動き」などと反応があるという。メンバーの1人は「ブラジルのファンは細かいから、気を抜けない。完璧にまねをしないと、つっこまれる」と笑った。

     Kポップがブラジルで広がったのは、ここ2年ほどのこと。ファンにはもともと日本の文化が好きだった人が多く、日本関連のイベントに招かれたKポップのカバーグループを見て好きになった人が多い。フィンキさんたちはこれまで、地元の日本人会が主催した「焼きそば祭り」など20以上のイベントに招かれた。いったんファンが増え始めると、フェイスブックなどのソーシャルネットワークサービスに乗ってKポップの音楽やビデオが浸透していった。

     ファンにとってうれしいのは、韓国の音楽関係者らの配慮だという。カバーグループのコンテストを頻繁に開き、韓国旅行を賞品にする時もある。「ファンも張り合いがある」とフィンキさんは喜ぶ。

     隣国ペルーでもKポップの人気は高い。3月11日に首都リマであった韓国の男性グループ「JYJ」の初公演には、約6千人のファンが押し寄せた。午後8時からの公演のため前夜8時から並んだ女性も。ボリビアからバスで35時間かけてきた人や、コロンビアやメキシコから駆けつけたファンもいた。

     公演が始まると、会場は「ジェー・ワイ・ジェー」という絶叫に包まれた。大学生のダマリス・サラサルさん(17)は「歌も踊りもかっこいい。Kポップはオリジナリティーがあるから好き」。ルセロ・ニュチェ・メサさん(14)は「言葉を超えたハートがある」とうっとり顔だ。

     公演の前日、リマのホテルで記者会見したJYJのメンバーらは「ラテンアメリカは、僕たちにとって新大陸」「大勢のファンを見てびっくりし、タクシーで追いかけられて驚いた。こんなにも情熱的に迎えられるとは思わなかった」と話した。(ビトリア=平山亜理)

    ■国を挙げ「韓流」輸出

     3月12日午後、ソウル中心部にある外交通商省の講堂に、在外公館に勤務する総領事ら50人余りが集まり、特別講義が始まった。

     公営放送KBSの金仁圭(キム・インギュ)社長が講師になり、KBSが東京で主催したKポップスターらの公演に約4万5千人が、パリ公演にも1万人以上のファンが詰めかけたことを紹介。「こうした現象を体系的に研究し、発展させることが必要だ」と呼びかけ、韓流ドラマやKポップが世界各地に広がった流れを映像を交えながら説明した。

     特別講義は、韓流人気を任地での韓国のイメージアップなどにいかに生かしていくかを考えてもらうのが目的で、2月にも大使らを対象に実施した。

     外交通商省はまた、昨年9月にロッテグループと海外での韓国文化の広報協力に関する覚書を結んだのに続き、今年2月にはKBSと「韓流のグローバル化」の実現に向けた協力の覚書も締結。韓国の魅力を海外に伝えるために、政府として韓流を積極的に活用していく方針を明確にした。

     韓流人気はすでに様々な経済効果も生んでいる。韓国関税庁が昨年6月にまとめた報告書によると、韓流スターの人気とともに、韓国製化粧品の輸出額はこの10年で7倍超に急増。韓国銀行の調べでは、ドラマの輸出や芸能人の海外公演を含めた韓国の文化・娯楽産業が海外で得た収入は昨年、7億9400万ドル(約660億円)に達し、この5年で2倍以上になった。

     南米公演を成功させたJYJは今後、オーストラリアや中東なども視野に入れるという。所属事務所の担当者は「Kポップは単なる流行にとどまらず、一つの文化という位置を占めたと思う」と自信を見せる。

     韓流の快進撃は止まらない。(ソウル=貝瀬秋彦)

         ◇

     〈日本の韓流ブーム〉 日本ではドラマ「冬のソナタ」の放送が2003年に始まり、主演のペ・ヨンジュンさんが中高年女性を中心に人気を得た。音楽は女性グループの「少女時代」や「KARA」、男性グループの「東方神起」が若者の人気を集め、昨年の紅白歌合戦に出演。ブームは化粧品、料理などの分野にも広がっている。

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