ホームメッセージ作品紹介上映日程チケット会場地図アーカイブ
イタリア映画、それぞれの現実と愛のかたち
岡本太郎
2001年以来、輝かしい蘇生を遂げたイタリア映画の現在を伝えてきたこの映画祭も遂に第5回を迎えた。世代交代による個性的な新風が吹き込み、実力派の作家たちも本領を再発揮するイタリア映画界は、今年も作品選定に迷うほどの活況を呈している。

映画への深い愛を洗練された美しい映像と詩的なダイアローグに織り込んでチャーミングなラヴストーリーの傑作を撮りあげたダヴィデ・フェラーリオの「真夜中を過ぎて」は本国でも大ヒットを記録し、研ぎ澄まされたセンスでアイロニカルで痛切な究極の愛のかたちを描いた俊才パオロ・ソレンティーノの「愛の果てへの旅」はカンヌ映画祭で喝采を浴びた作品である。

才気と野心の塊、ガブリエーレ・ムッチーノの「私のことを覚えていて」が今日のイタリアの一側面をいやというほど鮮やかに映し出せば、女性ならではのしなやかな感性で同時代の問題を優しく鋭く表し、多くの人びとから大きな共感を得たささやかな名品「ママは負けない」のフランチェスカ・コメンチーニや、現代ローマの等身大の現実を絶妙な会話と共に、時に切実に摘み取ることに成功したエットレ・スコラの会心作「ローマの人々」もすこぶる新鮮だ。

サルデーニャという、本土とはかけ離れた時空で営まれる島の生活をファンタジックに綴ったサルヴァトーレ・メレウ入魂の「スリー・ステップ・ダンス」、ローマ近郊の日常と隣りあわせの不条理にメスを入れたトニーノ・ザンガルディの「私をここから連れ出して」にもそれぞれの世界観や問題意識が反映される。一方、イタリア映画祭では既に顔なじみのカルロ・マッツァクラーティは夢のようにのどかなありし日々のトスカーナを舞台に古典的な愛の風景を撮り、シルヴィオ・ソルディーニはジェノヴァの書店から始まる破天荒な愛と嵐の喜劇を世に送り出した。

そしてやっと初登場となるジャンニ・アメリオは、古き良き時代から新世紀までの遠く過酷な道のりの中で、ナンニ・モレッティと共に本当に優れた作品を撮り続けてきたイタリア映画の良心だ。「家の鍵」を観ずにイタリア映画の現在は語れないだろう。

asahi.com
ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー | 広告掲載と注意点 | アサヒ・コムから | 朝日新聞社から | 問い合わせ |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission