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09月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 闘争心が目と眉に表れる。世間から「野獣」と言われようが、おかまいなく戦い続けた松本さん。柔道女子57キロ級で2012年ロンドンオリンピックでは金メダルを、16年リオデジャネイロオリンピックでは銅メダルを獲得。


 「ロンドンでは小さい頃からの母との約束を果たせた安堵(あんど)感がありました。それに、誰でも自分の戦い方を見つければ勝てるんだということも証明できたと思います。またリオでは、父が『薫が世界で戦う姿をもう一度見たい』と言ってくれたことが原動力になりました」


 その後、妊娠して出産してからも柔道を続け、20年の東京大会を目指す意向を示していたが、今年初めに引退を表明。「娘が可愛いのもあって子育てに時間を割くようになり、柔道の練習時間がグンと減りました。同時に勝ちたいという意欲も薄らいでしまい、さすがにもう勝負師としては無理だなと思ったんです」


 5歳から31歳まで続けてきた柔道だが、実はずっと好きなものではなかったと松本さんは語る。だから引退会見をした際、「ようやくやめられる」という安堵する気持ちがあったという。でもその一方で、柔道は紛れもなく自分を改善してくれ、成長させてくれたものであり感謝もしている。


 「自分の特性に気づかせてくれたり、自分には到底難しいと思っていた世界という舞台に引き上げてくれたりした。もし柔道をやっていなかったら人前に立つこともなかった。きっと、いつも人の陰に隠れて他人の顔色をうかがいながら生きていただろうなって思います」


 何かをスタートさせる時、「好き」という気持ちから始められる人がいる一方で、松本さんのように「やりたくないけど」と思いながらも取り組み始めたという場合もある。「でもそこから得るものも結構多いんだということを、私は柔道を通して学びました。だから、気の進まないことでもとことんやり尽くすことが大事なんだなと思っています」


 やり切った感があるからこそ、一点の曇りもない気持ちで次なる人生のステージへ進めた。今仕事として力を注いでいるのは、アイスクリーム店「ダシーズ」の運営と商品開発だ。徹底的に素材を吟味し、アレルギーのある人も健康志向の人も安心して食べられて、しかもおいしいアイスクリームが同店のこだわり。「スタッフみんなと一緒に、おいしさを更に追求していきたい。そして近い将来、このアイスクリームを世界に発信していきたいです」


 現在、第2子を妊娠中という松本さん。家族を大切にしながら、新たなフィールドでも快進撃を続けそうだ。

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