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11月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 10代から女優としての活動を開始し、比較的仕事にも恵まれて順風満帆だった夏帆さん。しかし、25歳前後から徐々に仕事に行き詰まるようになっていったという。


 「やりたいと思える仕事が来なかったりして、理想と現実のギャップを感じ、初めて先のことが不安になったんです。特に、下積みの時期が私にはなかったこともあり、女優としての力量に自信が持てていなかった。それに結構、順調な道のりだったので、いつの間にか仕事があるのは当たり前という感覚になってしまっていた。でも『仕事を頂くことは当たり前ではないんだ』とハタと気づいて愕然(がくぜん)としたんです」


 ちょうどその頃、追い打ちをかけるようにつらいことが重なった。ますます深刻な気持ちになって、現実的にこの仕事を続けていくのはもう無理、限界かもしれないと落ち込んでしまった。「仕事に面白みを感じられなくなり、しんどい日々を1年ほど過ごしました」


 そんなネガティブモードの夏帆さんを救ってくれたのは、これがまた仕事だった。「とことん落ち込んだ後に入ってきた新しい作品の現場へ行ったら、久しぶりに幸せな気分に浸れたんです。そこから徐々に気持ちを切り替えることができるようになりました」


 以後、考え方も少し前向きなモードにギアチェンジ。「俳優は『待つ』ことも仕事。次のオファーを待っている時など、何もしていないことにすごく焦っていましたが、その時間を使って旅行や人に会いに行くなど、有意義に過ごそうと考えるようになりました」


 決して迷いが消えたわけではないが、それでも今はすっかり俳優という仕事が好きだと言い切れる。「演じることが純粋に楽しいし、現場では満たされた気持ちになる。何より、人の心を少しでも動かせる仕事をしていると感じられる瞬間があって、その時ばかりはつくづくこの仕事をしていて良かったなと思います」


 現場が変わるごとに新たな人と出会え、様々な経験ができるのもだいご味だと実感している。最新作の映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』では、監督の箱田優子さんと事前に何度も話し合いながら、演じる砂田という役を作り上げていったそうだ。「ここまで監督と距離感を縮めてから撮影に入ったのは初めて。だからこそ『まんまの私』を切り取ってもらえた感じがする。こういう初めての経験がまだまだあるんですよね、続けていると」


 10代の頃と圧倒的に違うのは、自覚と責任感。役も出会いの一つ。真摯(しんし)に向き合うことを心掛けているという夏帆さん。現在28歳。女優としてこれからも成長していく。

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