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02月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 愛らしい表情と独特のオーラが魅力の女優・趣里さんが、1130日(土)から舞台「風博士」に出演する。「劇作家の北村想さんが、無頼派と呼ばれた坂口安吾という作家から着想を得て紡いだ新作です。主人公のフーさんを中井貴一さんが演じ、コミカルな部分も多くて、歌も楽しい。何よりセリフが美しいので、演じていてすごく心地良い作品です」


 趣里さんが女優を志したのは18歳の頃。実はそれ以前に、「私の人生、終わった」と思うほどの大きな挫折を味わっていた。


 物心ついた頃からバレエ一筋だった趣里さんは、海外での活躍を目指して中学卒業と同時にイギリスへ留学。だが、まさかの大ケガで夢を断念せざるを得なくなってしまう。「バレエダンサーになること以外何も考えてこなかったので、いきなり絶望の淵に突き落とされた感じで身も心もボロボロ。しばらく立ち直れませんでした」


 とは言え、生きていくためには泣いてばかりもいられない。高卒認定試験を受け、予備校へ通って勉強し、大学に進学する。「その過程で将来に色々な夢を持つ友だちや先生と出会い、バレエ以外にも人生の選択肢はあるなって分かってきました」


 では何がいいか? 趣里さんはふと、バレエをやっていた時に観(み)た芝居のことを思い出す。「岩松了さん演出の作品だったのですが、観始めてすぐにその世界にグッと引き込まれてしまったんです。その後も映画やお芝居を観に行くと、やはりつらいことを忘れられた。こんなにも人の心を救うものがあるんだと感動し、私も人に何かを感じてもらえる役者という仕事がしたいと思うようになりました」


 まずはレッスンを受けてみようと、俳優の故・塩屋俊さんが主宰する演技スクールへ。ここで趣里さんは演技することの面白さに目覚めていった。「何でもネガティブに捉えがちな私を塩屋さんは肯定し、『お前は大丈夫、頑張れ』と励まして自信を持たせてくださいました。それに海外のメソッドによって、自分を解放するすべなど、私自身に一番足りないものを教えてもらうことができました」


 バレエのケガで「明日の自分がどうなっているかなんて分からない」ということを身をもって経験していた趣里さんは、「後悔は絶対したくないという思いがあり、とにかく演じることが楽しいし、バレエ同様、表現することだから役者をやってみよう」と決意する。


 そしてスクールへ入って2年目、オーディションを受けてドラマ「3B組金八先生」で俳優デビューを果たした。

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