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02月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 2011年に短編映画で監督デビューしたHIKARIさんは、その後もしばらくは短編作品で実績を重ねる。その際、意識したのは毎回内容の異なるものにすること。「テーマをLGBT、福島、恋愛などと変えたし、ジャンルもファンタジーアドベンチャー、ミュージカル、アニメーションといろいろ挑戦しました」

 中でもダンスと音楽で物語が展開する作品『Where We Begin』はトライベッカ映画祭で最優秀短編映画にノミネートされ、他の映画祭で合計8賞を受賞。その実力は世界で認められていった。「ただ、私自身にいつか長編を撮りたいという思いがあり、その脚本を年1本ずつ書きためていたんですね。でも満足のいくものがなかなか生み出せなかった」

 そうした中で、2年半かけて完成させたのが2月公開の『37セカンズ』だ。「障害者の性に関する、ある医師へのインタビューにインスパイアされたのが発端です。それから15人くらいの障害者とその家族を取材しました」

 そして脚本を書き進めるうち、主人公ユマには障害をもった人をキャスティングしたいと思い至り、オーディションを実施。書類選考で絞られた100人ほどの中から探し当てたのが佳山明(かやまめい)さんだった。出生時に脳性まひを患った女性で、演技経験はない。「表情が愛らしくって、とにかく声の可愛さに惹(ひ)かれました。聞いているだけで助けたくなるんです。この声が映画のクオリティーを上げると確信し、彼女に合わせてストーリーも大幅に変えました」

 本作は早くも米ハリウッドの目に留まり、HIKARIさんにはオファーが殺到。既に複数のドラマや映画の大型プロジェクトが動き出しているという。その過程で、切り札として役立っているのが前述の短編作品たち。「私が『37セカンズ』のような作品以外にどんな映画を撮れるか一目瞭然で理解してもらえますから。とは言え、一回こけたら終わりかも知れない。だから、いきなり何百億円という大作に挑戦するのではなく、しばらくは身の丈にあった作品をやって実績を作ってから次のステップに進みたいと考えています」

 好きなことだけやる。嫌だと思ったらやめればいい。子どもの頃からそう母親に教えられ、そのスタンスを守って生きてきたという。「他人の干渉を気にせず自分が好きなことをやりたいなら、それを一言でもいいから声に出して明らかにすることも大切です。何より、自分の好きなことに懸命に取り組んでいたら、それに惹かれて周りもついてくると思うんです」

 取材中も終始満面の笑み。エネルギーに満ちたHIKARIさん。次回作も楽しみだ。

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